2007年8月16日木曜日

夏休みは海外の「コールドスポット」でリフレッシュ!

世間では今週は夏休みを取って帰省したり自宅でのんびりしている人も多いだろう。しかしIT技術者の夏休みはずばり「海外旅行」で決まりだ。オペレーションセンターは24時間365日稼動なので、システムトラブルがあれば休暇中であろうと深夜であろうと呼び出されてしまう。IT関係には私的な旅行でも会社支給の携帯電話を常時持つことを義務付けている会社さえある。自宅にいようものなら急きょ休暇を取りやめて出社、旅行中でも国内なら1時間も携帯電話に片手にあれこれ指示を出す羽目になりかねない。その点海外旅行なら最初から連絡を取るのをあきらめて出社している社員で対応するか帰国を待つしかない。

しかし、最近はそういう手も必ずしも使えなくなってきた。海外でも無線LAN完備のホテルが増えてきたのだ。ホテルで観光情報をグーグルしていたらインスタントメッセージが「よかった、困ってたんだよ!」などとポップアップしかねない。休暇を取って海外旅行などというとノートパソコンを持参するように平然と指示するプロジェクトマネージャさえいる。その上「メールは毎日チェックしろよ」とか「インスタントメッセージは常時オン」などにいたっては暴言・無法としかいいようがない。

「ホットスポット」とはもちろん駅やレストランなどで自由に無線LANが使え、いつでもどこでもインターネットに接続できる場所だ。そのような場所はもちろん必要だが、同時にこれからの社会には「コールドスポット」が求められている。これは「ホットスポット」とは逆にインターネットも携帯電話もまったく通じない場所だ。いつでもどこでもインターネットに接続できる社会とは、同時に24時間365日ストレスから解放されない社会でもある。ほとんどの人間はそういう環境にどっぷりと浸かって健康と正常な精神を維持できるほど強くない。IT技術者に限らず毎日数時間、毎月数日、毎年数週間は「コールドスポット」に入る必要がある。「超」整理法の著者の野口悠紀夫氏はその著書の中で「世界で一番快適なホテル」として、実在する「部屋に電話がなく、取り次ぎもしないホテル」を挙げている。日ごろ激務に追われるエグゼクティブは、その電話がないホテルですべての仕事やプレッシャーから開放され心身ともにリフレッシュする。そして英気を養って仕事に戻るのだという。

かくして、IT技術者の夏休みの海外旅行のトレンドはインターネットが日本ほど普及していない東南アジアあたりのリゾートで、あまり大きくない地元資本のホテル−絶対に携帯電話もインターネットも使えない−になる。つまり「コールドスポット」だ。それはもはや日本国内には存在しない。