2008年11月29日土曜日

神奈川県の個人情報漏洩事件に思う

今年の8月、あるソフトウェアベンダーのハンズオン講習に行ったときのことだ。ランチタイムの前にある受講者が講師に休憩時間中会場が施錠されるか聞いていた。施錠されないと知ったその受講者はノートパソコンを持ったまま昼食へ出かけて行った。カバンは会場に残したままだった。

もちろん休憩中に万が一ノートパソコンが盗難にあったことを考えてのことだろう。カバンは盗まれても大したことはないが、ノートパソコンには重要な情報が入っている。そこまでするのだから、彼のノートパソコンのマザーボードやハードディスクはパスワードで保護されているだろうし、重要な情報は暗号化されているだろう。


先日、神奈川県の全高校生の個人情報、約11万件がネットワーク上に漏洩する事件が起きた。例によってウイニーなどのP2Pソフトが原因だったようだ。システムを受注したIBMの請負先の社員がデータを自宅のパソコンに保存したそうだ。これだけウイニーによる情報漏洩が問題になっているのに、そんなパソコンに実データを入れた馬鹿がクビになるのは当たり前だが、そんな馬鹿にデータを渡した、あるいは持ち出すことを防げなかったIBMの責任は小さくない。

もちろんIBMとて情報漏洩については注意を払ってるだろう。実は前述の講習でノートパソコンを持って昼食に出た受講者はIBMの社員だったのだ。それでも情報漏洩を防ぐことはできない。実際、悪意のある者や馬鹿による情報漏洩を防ぐのは極めて難しい。

結局収集された情報は漏洩するものだということを前提に我々が自衛するしかないのだろうか。有効な方法は情報の多重化だ。例えば銀行口座やクレジットカードを複数持つことは有意義だ。漏洩したときに解約し易いし、被害を最小限にできる。電話番号もIP電話を契約すると普通の電話番号以外に050から始まるもの持てる。Skypeも有償で050の番号を持てる。これらは比較的簡単に変更できる場合が多いので、知人や近親者以外にはそれを教えるのだ。

また、ウェブサイトなどで会員登録と称して住所の入力を求められることがよくあるが、収集目的と思われる場合は町内で存在しない番地を調べておいてそれを使う。僕はこれだけで随分とつまらない勧誘の電話やDMが減った。

2008年11月22日土曜日

ウルトラポータブルを買いました

今年の1月にこのBlog でウルトラポータブル・ラップトップを紹介し、今年の大きなトレンドになると予測した。NetbookとかUMPC(ウルトラモバイル・PC)とかいろいろな呼ばれ方をしているが、おおむね2ポンド(0.9Kg)程度の超軽量で低価格なラップトップ(ノートパソコン)だ。

最大の特徴は圧倒的な低価格と抜群の携帯性だ。価格はおおむね3万円台から5万円台。従来の低価格といわれるノートパソコンの半額以下、国産となら3分の1以下の価格は衝撃的だ。そしてとにかく軽い。普段持ち歩いてもまったく気にならない。少し大げさに言えばトートバックやデイパックの片隅にも入るコンパクトさ。

先日、そのウルトラポータブルを購入した。台湾製のEee PC 1000H XP というモデルだ。重量は約1.4Kgとやや重いものの、その分キーボードやモニタが大きく使いやすい。ウルトラポータブルとしてはめずらしく120GBのハードディスクも内蔵している。バッテリーも公称7時間(実際は多分4時間程度)と長持ちだ。10GBのネットワークドライブも無料で使える。メモリは1GB、USB×4。Bluetoothとウェブカメラ内臓。

キーボードやモニタが大きいと言ってもそれはウルトラポータブルとしてはという前提だ。いままでのノートパソコンからいきなり使うと、やはり小さくて使いにくい印象はするが、あくまでも慣れの問題だろう。もっとも僕は普段デスクトップとして使う場合は写真のように外付けの15インチモニターとUSBキーボードを使っているので、まったく違和感なく快適に使える。

パフォーマンスは超快適というわけにはいかないが、音楽を聴きながらオフィスを複数動かしてものを書いたり、DVDプレーヤーとして使う分には必要十分だ。逆に言えばそれ以上の機能・性能が必要だろうか?

ウルトラポータブルは小さいという性能を最大限に追求するために高速のCPUや拡張性などを犠牲にしたと言える。かといってよほど特殊な使い方をしなければ必要十分なものは確保している。値段の安さを考えれば今後の主流となる可能性は十分あるだろう。

それにしても次期携帯電話はがぜんイーモバイルが有力になってきた。イーモバイルならBluetoothを使ってワイヤレスブロードバンドモデムとして使える。しかもデータ通信の定額料金は携帯電話会社の中で最も安い。これはウルトラポータブルと最強の組み合わせになるだろう。

2008年11月16日日曜日

超「超」整理法とGoogle

1993年にベストセラーになった「超」整理を憶えている方は多いだろう。「分類するな。ひたすら並べよ」という主張は新鮮で、これを読んで「押し出しファイリング」を始めた人も多いだろう。僕もその一人で、今でも角型2号の封筒に何でも入れるというのは紙の書類を整理する基本スタイルになっている。

その著者(野口悠紀雄)が新著、超「超」整理法を出した。「超」整理法を超える整理法ということで興味深いタイトルだ。さっそく読んでみると全編Googleの礼賛のような内容だ。新しい主張は「分類するな。ひたすら検索せよ」

この主張自体は特に目新しいことではない。すでにペーパーレス化が進んだオフィスでは当たり前で、氏が絶賛するGmailのパーソナルデータベース化などとっくに実践している人も多いだろう。僕もここ数年はデータをできるだけローカルに置かず、GmailやGoogle Docsに保存するようにしている。写真の保存はGoogleのウェブアルバムだ。探すときはGoogle Desktopで探せばパソコン内かGoogle内に保存しているかを意識することなくシームレスに検索できて便利この上ない。

さらに、一度パソコンがクラッシュしたときがあった。パソコンローカルのデータはバックアップ以前のデータしか助からなかったのは言うまでもない。しかも、このときはマーフィーの法則により、いつもは一ヶ月に1回取っていたバックアップを半年も取ってなかった!もちろんGoogleに保管したデータは全て無傷で大いに助かった。そんなこんなで、ますますGoogleへの傾斜が大きくなった。

ところで、この本で紹介されていたあるGmail Drive というフリーソフトを知らなかった。7ギガバイトもあるGmailをネットワークドライブとして使えるという優れものだ。インストールするとWindowsエクスプローラにGmail Driveというアイコンができ、通常のドライブのように自由にファイルを保存することができるのだ。もちろん検索することもできる。以来貴重なファイルをわざわざGmailの自分宛アドレスに送ったりする手間が不要になった。これを知っただけでもこの本を買った価値があると言うものだ。

2008年11月8日土曜日

近頃のシンクライアントな日々

毎朝出勤すると、まず机の引き出しからノートパソコンを取り出す。USBメモリを差込み、電源を入れるとLinuxでブートされる。シンプルな画面の左上の小さなアイコンをクリックすると自動的にデータセンター内のサーバーに接続され、見慣れたWindowsの画面が表示される。あとはNotesとインスタントメッセージを起動していつものように仕事を始める。

現在、社内でシンクライアントのパイロットシステムが稼動しているのだ。公募した数百人のテスターがシンクライアントを使って日常の業務をこなしている。僕も開発プロジェクトの一員だったのでもちろん常時利用している。

シンクライアントのソリューションはいくつかあるが、コストや実績の面で共有サーバー方式(サーバー・ベースド・コンピューティング)を採用した。ハイスペックのWindowsサーバーを多人数で共有する方式だ。これのサーバーをさらに数十台用意し、ロードバランシングで運用している。

シンクライアント端末自体はパイロット運用ということもあり、前述のように普通のWindowsXP搭載のノートパソコンをLinuxOSを搭載したUSBメモリでブートする方式を取っている。本番ではハードディスクを外してCFメモリのLinuxでブートするようにカスタマイズしたノートパソコンにする予定だ。

共有サーバー方式を採用したので、利用者は勝手にソフトウェアをダウンロードしたりすることはできない。そのあたりは一部のヘビーユーザーに不満もあるようだ。しかし、業務に必要なアプリケーション(少なくとも社内で利用を公式に認められている)は網羅しているし、どうしても必要なものは今後ともサポートしていく予定だ。

それ以上にユーザーがノートパソコンの管理に必要な作業、セキュリティパッチの適用やアプリケーションのインストールやセッティング、データのバックアップなどは全てサーバー側で行うので、大いに時間の節約になるはずだ。もちろんノートパソコンの紛失や不注意によるデータの漏洩の可能性が大幅に減少するので、そのストレスから開放されるは大きい。

無線LANはもちろん、携帯電話のデータカードにも対応していて、営業を中心としたモバイルユーザーにも好評だ。一番気になるレスポンスも概ね良好で、通常のノートパソコンと比べてもほとんど違和感がないとのことで安心している。

シンクライアントのモニタから見えるデスクトップは遠く離れたデータセンターにあるサーバーのものであることを使ってる本人も意識することはほとんどない。

2008年11月1日土曜日

アメリカで運転するためのTips

フリーウェイの走り方
アメリカと言えばロングドライブ、そしてロングドライブには適時の休憩が欠かせない。フリーウェイにもレストエリア(REST AREA)がある。ただし、アメリカのレストエリアは文字通りの休憩所だ。小さな公園のようなものでトイレと飲み物の自動販売機くらいしかない。

本格的な休憩、食事やガソリンスタンドは一旦フリーウェイを降りる必要がある。近くに来ると「FOOD」とか「GAS」とかの標識があるのですぐわかる。日本と違って数が少ないので早め早めを心がけよう。アリゾナへ行ったときなど「NEXT GAS STATION 200 MILES」(約320Km)などという標識があって唖然とした。タンクの半分を切ったら入れるくらいの余裕が必要だ。


ガソリンの入れ方
アメリカではほぼ100%のガソリンスタンドがセルフ方式だ。給油機にクレジットカードの読み取り機が付いているので、まずカードをスライドして読み取らせる。次にガソリンの種類を選択し、ノズルを取ってガソリンを入れる。

たまにクレジットカードが使えない場合もある。そのときは事務所(たいていはコンビニを兼ねている)に入って給油機の番号と入れたい金額を言う。7番に20ドルなら「ツゥエニイダラーズ・アッツ・ナンバーセブン・プリーズ」という具合だ。給油機に戻れば入れられるようになっている。20ドル分入れれば自動的に止まる。20ドル分入る前に満タンになってしまえば、また事務所に行って「チェンジ・アッツ・ナンバーセブン・プリーズ」と言うとお釣りをくれる。

入れる量を金額で指定しないで満タンにしたい場合は「フィル・イッツ・アップ・アッツ・ナンバーセブン・プリーズ」と言う。満タンにして再度事務所に行くと料金を告げられるので払う。

交通法規-歩行者が絶対優先-
交通法規は80%くらいは日本と同じだ。一番異なるのはアメリカでは歩行者が絶対優先だということだ。例えば住宅街などで中央線や横断歩道のない道で歩行者が横断しよとしているのを見かけた場合は車が止まらないといけない。後続車がいない場合など、そのまま通過した方が早いような気がするが、車の方が停止して歩行者が横断するのを待つのが鉄則だ。

特に注意すべきはスクールバスから子供が乗降しているときだ。車は必ず手前で停まって終わるまで待つ。この違反はかなり重大な犯罪行為なので、バスの運転手は車のナンバーを記録して直ちに警察に通報する。最悪の場合逮捕・拘禁される。罰金は最低で1000ドルだ。

アメリカでは交通法規は州法なので厳密には州によって違う。でも実際は違いはごく軽微なので一つの州のものを知っていればほぼ差し支えはないだろう。僕はカリフォルニアの運転免許証を持っていたので問題はないが、初めてアメリカで運転する人は一通りの知識は必要だ。カリフォルニア州政府のウェブサイトにはPDFで公開されているが、当然英語なので多くの日本人には敷居が高かった。ところが、これを和訳して公開しているウェブサイト を見つけた。

最後に
アメリカでの運転というと地平線の彼方まで地面をつききるフリーウェイを連想する。この景色はアメリカで運転をする醍醐味だ。僕はロングドライブを経験しないとアメリカを経験したことにはならないとまで思っている。アメリカへ旅行したら一日でよいの挑戦してはどうだろうか。事前に十分な準備をすること、二人以上で乗ること、徹底的に安全運転を心がけること(クラクションを鳴らされても気にしない)、などを守れば安全にドライブを楽しむことができる。