2008年12月27日土曜日

個人でクラウド-Google Appsの勧め-

今年の最大のトピックは何といってもクラウドコンピューティングの離陸だったと思う。そして来年からは本格的な普及が始まる。すでにJTB、東急ハンズ、ユニチャームなどがGoogleの有償のサービス、Google App を本格的に導入した。いずれも圧倒的な低コストとパフォーマンスの向上が目的だ。この動きはますます加速する。

意外と知られていないが、Google Apps は個人でも非商用なら無料だし、独自ドメインを利用することができる。僕は Shichijo.comというドメインを使っている。管理者には専用の管理コンソールのアクセス権があり、いろいろな設定をすることができる。機能としてはウェブ版のグループウェアとほぼ同じと思えばよい。

僕のIT環境は90%以上は既にGoogle Apps に移行している。ワード、エクセル、テキストはもちろん、ありとあらゆるファイルはまずGoogleに放り込む。Google Docs で作れるファイルは最初から作る。Shichijo.comだけでなく数種類のドメイン名、数十種類のメールアカウントで送受信している膨大なメールは全てGmail で集中管理している。あとは強力な検索機能で、全てのデータは整理という非生産的な業務から開放される。とにかく全てを Google Apps に置いた瞬間から効率は劇的に向上する。

最近スマートフォンを買ったのでいつでもどこでも Google Apps にアクセスできるようになった。自宅のパソコンはネットブック(普段は外付けキーボードとモニターを付けてデスクトップとして使っている)なので、いつでも軽々と持ち出すことができるし、無線LANだけでなく、スマートフォンをモデムにしてアクセスすることもできる。まさしくユビキタスの環境が整ったことになる。イニシャルコストはイーモバイルのキャンペーンを使えば(僕は使わなかったが)ネットブック+スマートフォンで100円。ランニングコストは月々のスマートフォン利用料のみだ。

幸か不幸かこの不況だ。来年もIT予算は徹底的な見直しと一層の効率的化がされるだろう。そして、これはクラウドコンピューティングにとって強力な追い風になるに違いない。

個人用の Google Apps の管理コンソール

2008年12月21日日曜日

アメリカ大不況はマスコミが騒ぎすぎ?

サブプライムローン問題に端を発したアメリカ大不況。ウォール街の相次ぐ倒産、ビッグスリーの苦境は毎日のように報道されている。日本でも非正規労働者の相次ぐ契約打ち切り、正社員のリストラなど大騒ぎだ。そして極端な円高。今年の年末は一転して暗い雰囲気で迎えることになった。

実際アメリカの普通の市民生活はどうなんだろうか?アメリカ人の友人に聞いてみた。彼はニューヨーク州、といってもニューヨーク市ではない、に住む典型的な中流のアメリカ市民だ。以前シリコンバレーに住んでいたことがあって、僕とは旧知の仲だ。

彼の率直な感想は「マスコミの騒ぎすぎ」だ。不況、不況と言ってもホームレスが増えている訳ではないし、ましてや餓死者が出ているわけではない。ウォール街は大変そうだが、あそこはそもそもハイリスク・ハイリターンの町で、リストラや解雇は日常茶飯事。シリコンバレーも似たようなもので労働力が極端に流動化している。経済状況とは関わりなく日常的に労働者は水のように高いところから低いところへ流れていく。ウォール街やシリコンバレーはアメリカの一部だが、典型的な社会ではない。普通のアメリカ市民から見ても別世界であり、特殊な地域なのだ。そこからのみ広いアメリカの全てを類推してはいけない。

しかし、彼は現在のアメリカの一般的な雰囲気はうんざり感だと言う。ブッシュにうんざり、イラク戦争にうんざり、レイオフにうんざり。そのうんざり感がさらに報道を加速し、その報道にもうんざり。

今回の不況はメンタルな要素が大きくて、あと半年から一年くらい経てばアメリカ人もそのうんざり感から脱出できるんじゃないかとか。そうすれば経済も徐々に上向くらしい。

彼はもちろん経済の専門家ではない。少なくとも現在の典型的なアメリカ人の考えはそんなものだと思う。

2008年12月20日土曜日

円高の今こそ海外の通販サイトを使おう

先日腕時計を買った。アメリカ製の気に入ったデザインのがあったのだが、日本で買うと4万円もする。アメリカの通販サイトを探すと送料込みで170ドルであった。即注文、2週間ほどで届いた。当時のレートで1万8千円くらい。今ならもっと安い。

同じもの買うのに日本よりアメリカで買ったほうが安いものがたくさんある。僕は通販サイトでよく本やDVDを買うが、日本のアマゾンよりアメリカのアマゾンで買った方が送料込みでも安いことがよくある。急がない場合はそれで十分だ。そういう人が結構いるのだろう。アメリカのアマゾンへアクセスすると日本語で「日本でお買い物しましょう」というアナウンスが出る。そうはいかない。

アメリカ製ならアメリカで買うより日本で買った方が多少高いのはしかたがない。しかし、先述の時計のように3倍近い値段を付けるのは詐欺のようなものだ。せいぜい20-30%増しくらいが許容の範囲だろう。はなはだしい場合は日本製なのに日本よりアメリカで買った方が安い場合がある。

少し高い買い物をするときはまずグーグルで検索していろいろな通販サイトを比較する人は多いだろう。僕もそうだ。ただ、商品名を英語で入力するのが原則だ。アメリカの通販サイトも比較の対象にするためだ。だから僕のグーグルの画面のデフォルトは英語(google.co.jpではなくgoogle.com)だ。

アメリカで商品を買って不良品だったり、注文と違うものが送られてきたりとかのトラブルを心配する人も多いだろう。僕もそういう経験がまったくない訳ではない。しかし、大手のクレジットカード会社でできればゴールドカードなどを使えば、大抵オンラインショッピング対応のショッピングプロテクションが付いていて、トラブルの際の支払いを全額保障してくれる。会費は1-2万円くらい必要だが、それだけの価値はある。クレジットカードは会費だけで決めてはいけない。

円がこれだけ高くなったのは本当に久しぶりだ。まさしく海外の通販サイトを積極的に使うチャンスだ。ほんのちょっとの英語を使えば大いに節約できるし、ショッピングを楽しむことができる。

僕がオンライン、オフラインに限らず、ショッピングでクレジットカードを「使わない」のはクレジットカードが「使えない」場合だけだ。理由は現金よりクレジットカードが「安全」だからだ。

2008年12月13日土曜日

アメリカの司法制度について-陪審員と弁護士-

日本でも裁判員制度が始まることになった。僕は非常に良いことだと思う。候補者の通知は来なかったが、選ばれたら喜んで参加するだろう。

ご存知のようにアメリカには陪審員制度がある。陪審員による裁判を受けるのは憲法で保障された権利だとされている。つまり法律のプロである裁判官より素人である市民の評決の方が被告人にとってより正しいはずだと考えれられているのだ。いかにもアメリカらしい考え方だ。

陪審員に召喚された場合は原則として拒否できないことになっている。もっとも仕事の事情とかいろいろ理由を付けてで辞退することはできる。これも2回までで、3回目は辞退できない。殺人罪などに当たると責任も重大だし、日数もかかる。だから1,2回目が窃盗などの軽い罪の場合は無理してでも応じる人が多いそうだ。

僕の知人も二人召喚されたことがある。受付の女の子の方は初めてだったそうで、興味津々喜んで休みを取って出かけていった。僕をよく射撃に誘ってくれた50年配の男性はこれが3回目だと言っていた。召喚されると言ってもその程度の確率なのだ。

弁護士もアメリカでは身近な存在だ。知人の女性が大きな交通事故に巻き込まれたことがあった。本人には怪我はなかったが、同乗していたご主人が短期間だが入院し、車がお釈迦になった。それで相手側に損害賠償を求めて民事裁判になった。結局勝訴して4万ドル手に入れたが、弁護士費用が賠償額の50%の契約で2万ドルしか入らなかったとぼやいていた。

アメリカでは弁護士の成功報酬制度が一般的だ。普通の市民は高額の弁護士料など払えないので便利な制度だ。しかし弁護士にとっては最悪タダ働きの可能性もあるわけでリスクをとる分報酬も高額になる。

日本では最近内定取り消しや契約途中での派遣切りが話題になっているが、アメリカなら弁護士の方から訴訟を勧める電話がかかってくるかもしれない。ほぼ間違いなく勝訴できるからだ。そして慰謝料は折半だ。でも金のない庶民が大企業を相手に訴訟を起こせるのは成功報酬制度のおかげだ。それが企業側が法令を遵守する強烈な圧力にもなっているのだ。日本にもあればいいのにと思う。
アメリカでは交通事故訴訟専門の弁護士はAmbulance Chaser(救急車追っかけ人)と揶揄される。町で救急車を見かけると追いかけていき、被害者に訴訟を勧めるからだ。一方「彼はAmbulance Chaserだ」と言うのはヘボ弁護士への悪口でもある。女性弁護士が「私の夫はこの事務所の最高のパートナーなの。彼は救急車の運転手なのよ」というジョーク。

2008年12月4日木曜日

IT技術の空洞化-ディザスタリカバリの観点から-

都内のある大手のIT関連企業がディザスタリカバリプランを策定した。大規模災害が発生したこと事を仮定して、コンピュータシステムの中から事業の継続に必須のシステムを選び出し、継続稼動に必要な予備機材や人員を見積もった。そして運用に必要な人員の名簿を作ったのだが、それにはその会社の社員がほとんど含まれていなかった。ほぼ全員が派遣や請負企業の社員だったのだ。正社員であっても災害時にデータセンターに技術者を集めることは難しい。交通の問題もあるが、そもそも家族を残して出勤しろといっても無理な話だ。ましてや派遣や請負先社員にそんなことを言っても100%不可能だろう。一週間分の食料備蓄まで検討したその計画は頓挫した。なぜこんなことになったのだろうか。

現在の日本の大企業で自社でITシステムを運用している会社は多くない。IT部門は企画ばかりしていて、ほとんどITベンダー任せだ。そして、そのITベンダーも設計やらコンサルティングばかりやっていて、具体的に手を動かしてシステムの構築や運用をしているの下請けの技術者だ。ITベンダーの社員は一通りの教育を受けた後、2-3年もすれば下請けに指示ばかりして自分で手を動かすことはしなくなる。身につくのはシステム構築の技術ではなく、パワーポイントやエクセルの使い方ばかりだ。IT関連の企業でさえ、IT技術が空洞化しているのだ。

欧米でもIT部門の運用はITベンダーの利用が欠かせない。しかし、システムの基幹部分は内製している会社は少なくない。一つは人材が流動化しているため、優秀なIT技術者を社員として採用しやすいことがある。しかし、根本的な理由はやはりリスク管理の考え方にあるのではないか。

アメリカの同時多発テロの時、マンハッタンにある多くの企業ではコンピュータシステムが稼動不能になり復旧に多大な時間がかかった。しかし、システムを内製し、自前の技術者を抱える企業は迅速に復旧させることができたと言う。結果損害を最小限に抑えることができたことは言うまでもない。

2008年11月29日土曜日

神奈川県の個人情報漏洩事件に思う

今年の8月、あるソフトウェアベンダーのハンズオン講習に行ったときのことだ。ランチタイムの前にある受講者が講師に休憩時間中会場が施錠されるか聞いていた。施錠されないと知ったその受講者はノートパソコンを持ったまま昼食へ出かけて行った。カバンは会場に残したままだった。

もちろん休憩中に万が一ノートパソコンが盗難にあったことを考えてのことだろう。カバンは盗まれても大したことはないが、ノートパソコンには重要な情報が入っている。そこまでするのだから、彼のノートパソコンのマザーボードやハードディスクはパスワードで保護されているだろうし、重要な情報は暗号化されているだろう。


先日、神奈川県の全高校生の個人情報、約11万件がネットワーク上に漏洩する事件が起きた。例によってウイニーなどのP2Pソフトが原因だったようだ。システムを受注したIBMの請負先の社員がデータを自宅のパソコンに保存したそうだ。これだけウイニーによる情報漏洩が問題になっているのに、そんなパソコンに実データを入れた馬鹿がクビになるのは当たり前だが、そんな馬鹿にデータを渡した、あるいは持ち出すことを防げなかったIBMの責任は小さくない。

もちろんIBMとて情報漏洩については注意を払ってるだろう。実は前述の講習でノートパソコンを持って昼食に出た受講者はIBMの社員だったのだ。それでも情報漏洩を防ぐことはできない。実際、悪意のある者や馬鹿による情報漏洩を防ぐのは極めて難しい。

結局収集された情報は漏洩するものだということを前提に我々が自衛するしかないのだろうか。有効な方法は情報の多重化だ。例えば銀行口座やクレジットカードを複数持つことは有意義だ。漏洩したときに解約し易いし、被害を最小限にできる。電話番号もIP電話を契約すると普通の電話番号以外に050から始まるもの持てる。Skypeも有償で050の番号を持てる。これらは比較的簡単に変更できる場合が多いので、知人や近親者以外にはそれを教えるのだ。

また、ウェブサイトなどで会員登録と称して住所の入力を求められることがよくあるが、収集目的と思われる場合は町内で存在しない番地を調べておいてそれを使う。僕はこれだけで随分とつまらない勧誘の電話やDMが減った。

2008年11月22日土曜日

ウルトラポータブルを買いました

今年の1月にこのBlog でウルトラポータブル・ラップトップを紹介し、今年の大きなトレンドになると予測した。NetbookとかUMPC(ウルトラモバイル・PC)とかいろいろな呼ばれ方をしているが、おおむね2ポンド(0.9Kg)程度の超軽量で低価格なラップトップ(ノートパソコン)だ。

最大の特徴は圧倒的な低価格と抜群の携帯性だ。価格はおおむね3万円台から5万円台。従来の低価格といわれるノートパソコンの半額以下、国産となら3分の1以下の価格は衝撃的だ。そしてとにかく軽い。普段持ち歩いてもまったく気にならない。少し大げさに言えばトートバックやデイパックの片隅にも入るコンパクトさ。

先日、そのウルトラポータブルを購入した。台湾製のEee PC 1000H XP というモデルだ。重量は約1.4Kgとやや重いものの、その分キーボードやモニタが大きく使いやすい。ウルトラポータブルとしてはめずらしく120GBのハードディスクも内蔵している。バッテリーも公称7時間(実際は多分4時間程度)と長持ちだ。10GBのネットワークドライブも無料で使える。メモリは1GB、USB×4。Bluetoothとウェブカメラ内臓。

キーボードやモニタが大きいと言ってもそれはウルトラポータブルとしてはという前提だ。いままでのノートパソコンからいきなり使うと、やはり小さくて使いにくい印象はするが、あくまでも慣れの問題だろう。もっとも僕は普段デスクトップとして使う場合は写真のように外付けの15インチモニターとUSBキーボードを使っているので、まったく違和感なく快適に使える。

パフォーマンスは超快適というわけにはいかないが、音楽を聴きながらオフィスを複数動かしてものを書いたり、DVDプレーヤーとして使う分には必要十分だ。逆に言えばそれ以上の機能・性能が必要だろうか?

ウルトラポータブルは小さいという性能を最大限に追求するために高速のCPUや拡張性などを犠牲にしたと言える。かといってよほど特殊な使い方をしなければ必要十分なものは確保している。値段の安さを考えれば今後の主流となる可能性は十分あるだろう。

それにしても次期携帯電話はがぜんイーモバイルが有力になってきた。イーモバイルならBluetoothを使ってワイヤレスブロードバンドモデムとして使える。しかもデータ通信の定額料金は携帯電話会社の中で最も安い。これはウルトラポータブルと最強の組み合わせになるだろう。

2008年11月16日日曜日

超「超」整理法とGoogle

1993年にベストセラーになった「超」整理を憶えている方は多いだろう。「分類するな。ひたすら並べよ」という主張は新鮮で、これを読んで「押し出しファイリング」を始めた人も多いだろう。僕もその一人で、今でも角型2号の封筒に何でも入れるというのは紙の書類を整理する基本スタイルになっている。

その著者(野口悠紀雄)が新著、超「超」整理法を出した。「超」整理法を超える整理法ということで興味深いタイトルだ。さっそく読んでみると全編Googleの礼賛のような内容だ。新しい主張は「分類するな。ひたすら検索せよ」

この主張自体は特に目新しいことではない。すでにペーパーレス化が進んだオフィスでは当たり前で、氏が絶賛するGmailのパーソナルデータベース化などとっくに実践している人も多いだろう。僕もここ数年はデータをできるだけローカルに置かず、GmailやGoogle Docsに保存するようにしている。写真の保存はGoogleのウェブアルバムだ。探すときはGoogle Desktopで探せばパソコン内かGoogle内に保存しているかを意識することなくシームレスに検索できて便利この上ない。

さらに、一度パソコンがクラッシュしたときがあった。パソコンローカルのデータはバックアップ以前のデータしか助からなかったのは言うまでもない。しかも、このときはマーフィーの法則により、いつもは一ヶ月に1回取っていたバックアップを半年も取ってなかった!もちろんGoogleに保管したデータは全て無傷で大いに助かった。そんなこんなで、ますますGoogleへの傾斜が大きくなった。

ところで、この本で紹介されていたあるGmail Drive というフリーソフトを知らなかった。7ギガバイトもあるGmailをネットワークドライブとして使えるという優れものだ。インストールするとWindowsエクスプローラにGmail Driveというアイコンができ、通常のドライブのように自由にファイルを保存することができるのだ。もちろん検索することもできる。以来貴重なファイルをわざわざGmailの自分宛アドレスに送ったりする手間が不要になった。これを知っただけでもこの本を買った価値があると言うものだ。

2008年11月8日土曜日

近頃のシンクライアントな日々

毎朝出勤すると、まず机の引き出しからノートパソコンを取り出す。USBメモリを差込み、電源を入れるとLinuxでブートされる。シンプルな画面の左上の小さなアイコンをクリックすると自動的にデータセンター内のサーバーに接続され、見慣れたWindowsの画面が表示される。あとはNotesとインスタントメッセージを起動していつものように仕事を始める。

現在、社内でシンクライアントのパイロットシステムが稼動しているのだ。公募した数百人のテスターがシンクライアントを使って日常の業務をこなしている。僕も開発プロジェクトの一員だったのでもちろん常時利用している。

シンクライアントのソリューションはいくつかあるが、コストや実績の面で共有サーバー方式(サーバー・ベースド・コンピューティング)を採用した。ハイスペックのWindowsサーバーを多人数で共有する方式だ。これのサーバーをさらに数十台用意し、ロードバランシングで運用している。

シンクライアント端末自体はパイロット運用ということもあり、前述のように普通のWindowsXP搭載のノートパソコンをLinuxOSを搭載したUSBメモリでブートする方式を取っている。本番ではハードディスクを外してCFメモリのLinuxでブートするようにカスタマイズしたノートパソコンにする予定だ。

共有サーバー方式を採用したので、利用者は勝手にソフトウェアをダウンロードしたりすることはできない。そのあたりは一部のヘビーユーザーに不満もあるようだ。しかし、業務に必要なアプリケーション(少なくとも社内で利用を公式に認められている)は網羅しているし、どうしても必要なものは今後ともサポートしていく予定だ。

それ以上にユーザーがノートパソコンの管理に必要な作業、セキュリティパッチの適用やアプリケーションのインストールやセッティング、データのバックアップなどは全てサーバー側で行うので、大いに時間の節約になるはずだ。もちろんノートパソコンの紛失や不注意によるデータの漏洩の可能性が大幅に減少するので、そのストレスから開放されるは大きい。

無線LANはもちろん、携帯電話のデータカードにも対応していて、営業を中心としたモバイルユーザーにも好評だ。一番気になるレスポンスも概ね良好で、通常のノートパソコンと比べてもほとんど違和感がないとのことで安心している。

シンクライアントのモニタから見えるデスクトップは遠く離れたデータセンターにあるサーバーのものであることを使ってる本人も意識することはほとんどない。

2008年11月1日土曜日

アメリカで運転するためのTips

フリーウェイの走り方
アメリカと言えばロングドライブ、そしてロングドライブには適時の休憩が欠かせない。フリーウェイにもレストエリア(REST AREA)がある。ただし、アメリカのレストエリアは文字通りの休憩所だ。小さな公園のようなものでトイレと飲み物の自動販売機くらいしかない。

本格的な休憩、食事やガソリンスタンドは一旦フリーウェイを降りる必要がある。近くに来ると「FOOD」とか「GAS」とかの標識があるのですぐわかる。日本と違って数が少ないので早め早めを心がけよう。アリゾナへ行ったときなど「NEXT GAS STATION 200 MILES」(約320Km)などという標識があって唖然とした。タンクの半分を切ったら入れるくらいの余裕が必要だ。


ガソリンの入れ方
アメリカではほぼ100%のガソリンスタンドがセルフ方式だ。給油機にクレジットカードの読み取り機が付いているので、まずカードをスライドして読み取らせる。次にガソリンの種類を選択し、ノズルを取ってガソリンを入れる。

たまにクレジットカードが使えない場合もある。そのときは事務所(たいていはコンビニを兼ねている)に入って給油機の番号と入れたい金額を言う。7番に20ドルなら「ツゥエニイダラーズ・アッツ・ナンバーセブン・プリーズ」という具合だ。給油機に戻れば入れられるようになっている。20ドル分入れれば自動的に止まる。20ドル分入る前に満タンになってしまえば、また事務所に行って「チェンジ・アッツ・ナンバーセブン・プリーズ」と言うとお釣りをくれる。

入れる量を金額で指定しないで満タンにしたい場合は「フィル・イッツ・アップ・アッツ・ナンバーセブン・プリーズ」と言う。満タンにして再度事務所に行くと料金を告げられるので払う。

交通法規-歩行者が絶対優先-
交通法規は80%くらいは日本と同じだ。一番異なるのはアメリカでは歩行者が絶対優先だということだ。例えば住宅街などで中央線や横断歩道のない道で歩行者が横断しよとしているのを見かけた場合は車が止まらないといけない。後続車がいない場合など、そのまま通過した方が早いような気がするが、車の方が停止して歩行者が横断するのを待つのが鉄則だ。

特に注意すべきはスクールバスから子供が乗降しているときだ。車は必ず手前で停まって終わるまで待つ。この違反はかなり重大な犯罪行為なので、バスの運転手は車のナンバーを記録して直ちに警察に通報する。最悪の場合逮捕・拘禁される。罰金は最低で1000ドルだ。

アメリカでは交通法規は州法なので厳密には州によって違う。でも実際は違いはごく軽微なので一つの州のものを知っていればほぼ差し支えはないだろう。僕はカリフォルニアの運転免許証を持っていたので問題はないが、初めてアメリカで運転する人は一通りの知識は必要だ。カリフォルニア州政府のウェブサイトにはPDFで公開されているが、当然英語なので多くの日本人には敷居が高かった。ところが、これを和訳して公開しているウェブサイト を見つけた。

最後に
アメリカでの運転というと地平線の彼方まで地面をつききるフリーウェイを連想する。この景色はアメリカで運転をする醍醐味だ。僕はロングドライブを経験しないとアメリカを経験したことにはならないとまで思っている。アメリカへ旅行したら一日でよいの挑戦してはどうだろうか。事前に十分な準備をすること、二人以上で乗ること、徹底的に安全運転を心がけること(クラクションを鳴らされても気にしない)、などを守れば安全にドライブを楽しむことができる。


2008年10月19日日曜日

アメリカのレンタカー、借り方・返し方

アメリカでは空港に着けば真っ先にレンタカーを借りる。公共交通機関が発達していない都市が多いので、パッケージツアーでもないかぎりレンタカーは欠かせない。移動に便利なのはもちろんだが、ダウンタウンではなく、郊外のホテルで泊まれるので結果として安くすむこともある。

今回の旅行でも1週間借りた。車種はクライスラーの4000CCもあるでっかいミニバン。料金は保険料込みでなんと136ドル。もっともこれは会員向きの期間限定のスペシャルプライスで、普通はミッドサイズで保険料込みで300ドルくらいはする。いずれにしても日本よりははるかに安い。

エイビスやハーツ、バジェットといった大手はさすがにもっと高い。ねらい目は準大手クラスだ。僕はスリフティというレンタカー会社の会員になっている。会費は無料。ウェブから申し込めば会員カードを郵送してくれる。会員専用の受付カウンターがあって、優先的に手続きができるし、ポイントがたまると料金の割引もある。

レンタカーは契約内容や保険、オプションなどが複雑なので、事前にウェブで予約した方が良い。特に保険はいろいろあってやややこしいが、Supplemental Liability Ins.とLoss damage waiverに入れば安心だ。前者は人身事故の損害賠償追加保険。後者は自損で車が壊れたりへこんだりした場合の保険だ。これが大体レンタル料金と同じくらいになる。オプションでカーナビもある。一日12ドルくらいするが、アメリカの運転に慣れていない人は申し込んだ方がよいかもしれない。

空港を出るとレンタカーオフィス行きのシャトルの専用のストップがある。それに乗って空港に隣接したオフィスに着けば、受付で予約したときのウェブのプリントアウトを見せる。申込書を出されて「こことここにイニシャルを書いて、この×のところにサインをして下さい」言われる。免許証番号などは予約時に入力してあるが、確認のために聞かれるときもある。その場合は日本の免許証と国債免許証を見せる。

手続きが終われば、車まで案内してくれるときもあるし、車を指差して「あれだ」といってキーをわたされる場合もある。アメリカの車は日本と各種スイッチの位置などが微妙に違うので十分に確認しょう。またどんな安い車でも必ずオートクルーザーが付いている。これは長距離ドライブで非常に便利なので、使い方を調べておこう。

アメリカでの運転と言うとよく車線の右左を心配する人がいるが、これを間違う人はまずいない。それよりも「電車の踏み切りで一旦停止をしてはいけない」、「高速道路のカープールレーン(2,3人以上乗っている車専用のレーン)は一人の場合は使用禁止」、「スクールバスから子供が乗降しているときは必ず手前で停止して待つ」などが大切だ。カープール違反は罰金400ドル、スクールバスの違反は罰金1,000ドル(カリフォルニアの場合)と高額だ。

事前に目的地までの道順をグーグルマップなどで十分に調べて、重要な場所はプリントアウトしておこう。また、必ず二人以上で借りて、一人はナビゲータをするようにしよう。ちょっと道に迷ったと思ったらできるだけ早く道行く人に聞くことだ。100人中99人はとても親切に教えてくれる。ガソリンはセルフサービスだが、クレジットカードのスキャナが付いているので現金は不要だし、店内に入る必要もない。

チェックイン(車を返すとき、ちなみに借りるときはチャックアウト、通常と反対)のときはガソリンを満タンにして返すのは日本と同じ。CAR RETURNと書いてある専用のゲートから入いると係員が誘導してくれる。借りたときの用紙を渡すと、車の傷の有無とかを簡単に調べられる。あとは返却用の書類にサインをすれば終わり。空港行きのシャトルに乗り込んだら、航空会社の名前を言えばそこまで運んでくれる。

レンタカーを借りると旅行の幅が大いに広がる。チャレンジする価値はある。

2008年10月18日土曜日

アメリカ・カナダのモーテル事情

アメリカとカナダで全部で6泊した。全て郊外のモーテルだ。宿泊料金は平均すれば一泊7,000円程度だったろうか。5,000円以下の格安モーテルも探せばあるが、トラベロッジやデイズ・インなどの大手のチェーンがやはり安心だ。

受付へ行くと、まずノンスモーキングか、スモーキングかを聞かれる。最近は全室ノンスモーキングのモーテルも増えてきた。次に部屋のタイプを聞かれる。タイプとはベッド数のことだ。大抵はキングサイズのベッドが一つか二つだ。キングサイズは日本で言うダブルベッドを横に二つくっつけたくらいの巨大なベッドだ。それが一つか二つかどちらがいいか聞かれるのだ。もちろん一人なので一つでいいのだが、どちらも料金は同じだ。

部屋のタイプが決まると、宿泊カードに住所と名前を書く。終わるといっしょにクレジットカードを渡す。モーテルによってはIDを見せるように言われる。この場合のIDとは運転免許証のことだが、外国人ならパスポートでよい。インターネット接続は全てのモーテルで可能で、いずれも無料だった。ただ、二ヶ所だけワイヤレスでなく、LANケーブルが必要だった。無料で貸し出してくれたが、念のために受付で聞いた方が良いかもしれない。また、郊外のモーテルはほとんど二階建てでエレベータはない。荷物が大きい場合はちょっと大変なので、1階の部屋が空いているかも聞いた方がよいだろう。

手続きが済むと部屋番号を告げられ、カード型のキーを渡される。写真は典型的なモーテルの一室だ。備品は日本とほとんど同じだが、部屋の広さは圧倒的に広い。キングサイズのベットが二つある部屋などとてつもなく広い。ちなみに料金は部屋単位なので、1人でも2人でも同じだ。もっとも4人以上とかは追加料金が必要な場合もある。

部屋に入ると備品とかを確認する。安いモーテルだと電子レンジや冷蔵庫が付いていない場合がある。テレビもつけてみる。一度ノイズばかりで映らないことがあって、受付に電話して部屋を変えてもらった。

あとは食事だが、たいていはす近くにレストランがあるので疲れているときはそこで済ませる。もっと疲れているときはピザとかのデリバリーを頼むときもある。アルコールが欲しいときは受付で近くにある酒屋かスーパーを聞いて買いに行く。翌日は机にチップを1ドル置いて部屋を出る。受付で鍵を渡してレシートをもらえば終わりだ。

この間、しゃべった英語は最初に「I need a room」と言ったくらいで、あとは質問に「Yes」「No」で答えただけ。興味のある人は一度チャレンジすればよい。オンシーズンの観光地でもない限りまず100%部屋は空いている。
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2008年10月12日日曜日

五大湖周遊の旅を終えて

アメリカ・カナダの五大湖周遊の旅から先週の土曜日に帰国した。今回の旅で一番印象深かったのは初めて訪れたカナダだった。アメリカ国境を超えて、まずはオンタリオ州の州都にしてカナダ最大の都市、トロントへ。市内観光のバスツアーに参加して一巡したが、町並みも美しく清潔で、治安も良さそうだ。実際、世界で最も住みやすい大都市の一つとして各種の統計でもランクインされているという。

トロント郊外で一泊後、400号線を経て16号線を北へ向かい、ジョージア湾沿いのリゾート地パリーサウンドを経て、ワナビティ湖をはじめ大小300もの湖に囲まれたサドバリーへ。さらに17号線を西へ折れてヒューロン湖北岸をブラインド・リバーからアメリカ国境のスーセントマリーへの約600Kmの道のりを丸一日で走破するという強行軍だった。もちろん随時休憩を取りながら湖畔の景色を堪能することができた。

しかし、その間の森の多いこと多いこと。600Kmのほとんど全てが行けども行けども森、森、森・・・。その中に大小無数の湖が点在する。そして紅葉の美しいこと。心が洗われるとはこのことだ。ロングドライブにもかかわらずほとんど疲れを感じなかったほどだ。

カナダはロシアに次いで世界第二位の広大な国土を持つ国だ。中国やアメリカよりも広い。実際は国土の多くが北極圏に属する不毛の地だ。しかし、五大湖畔の緑豊かな景色はあまりに印象深い。僕が今まで見た一番美しい景色の一つであることは確かだ。

さて、今度はどこへ行くか・・・。

今回の旅の全行程。約2400Km。

2008年10月1日水曜日

カナダ、トロントより-少し遅い夏休み-

いま、カナダのトロント郊外にいる。少し遅いが、ようやく夏休みが取れたのだ。今年は海外へは行かないつもりだったが、担当しているプロジェクトがようやくサービスインし、疲れを癒す意味で結局行くことにしたのだ。お金がないので、マイレージで無料の航空券が取れるところを探したところ、直前にもかかわらずデトロイト 行きにかなり空席があった。デトロイトは五大湖 の一つエリー湖西端にある都市だ。工業都市で特に観光するようなところではないが、今まで五大湖は行った事がない。そこでデトロイトを起点に五大湖を反時計回りに一周することにした。

結局ホテルの予約は一切しないままにデトロイト国際空港に降り立った。すぐにレンタカーのオフィスへ行き、いつものように車を借りた。エリー湖の南岸を3時間ほど東へ進むと、クリーブランド を少し越えたあたりで少し暗くなって来たので、適当にモーテルを見つけてまず一泊。翌日はエリー湖東端を北上しナイアガラの滝 を見学。さらにニューヨーク州最西端の都市、バッファロー で一泊。そして今日は国境を超えて、オンタリオ湖畔のトロント を観光。郊外のモーテルを見つけて一息ついているところだ。

明日はヒューロン湖の東岸から北岸をひたすらドライブするつもりだ。休憩しながら折々の景色を楽しみ、夕方になれば適当な町で泊まる。時間的にはブラインド・リバー あたりになりそうだ。五大湖一周となるとさらにスペリオル湖を北から大回りすることになるが、日程的に少しキツイので、スペリオル湖を西に望みながら南へ下って、ミシガン湖畔あたりでさらに一泊、そして最後にデトロイトで一泊して帰国することになりそうだ。

一人旅は気楽で良いのだが、夕食だけは一人で食べても美味しくないので、安レストランやテイクアウトで簡単に済ませる事が多い。気が向けば地元のパブやバーにぶらりと入り、カウンター席で一人ビールを飲みながら雰囲気を楽しむこともある。昨日もバッファロー名物のバッファローウイング を肴にビールを飲んでいると、バーテンや他の客が話しかけてきたりして楽しい時間を過ごすことができた。ホテルへ帰るとデジカメの写真をパソコンに取り込み、その日の出来事をエッセイ風にまとめるのが日課だ。旅は百人百様だが僕にはこんな旅が似合っている。

2008年9月27日土曜日

僕が朝型人間になった理由

僕は朝型人間だ。毎朝4時半には起床して、まずシャワーを浴びる。朝食までの2時間をいろいろな事をして過ごす。一日のうちで最も充実した時間だ。このスタイルを決定付けたのはもう15年も前に滞在したオーストラリアでの体験だった。

滞在したのはブリスベンの北100Kmほどのところにあるマルチドという小さな町だ。一帯はサンシャインコーストと呼ばれるビーチリゾートで、観光客のほとんどは地元オーストラリア人。温暖な気候のため、年金生活者が多い町としても知られている。この町に住む知人(オーストラリア人)のところに一ヶ月間厄介になったのだ。

オーストラリア人はスポーツ好きだ。その町もビーチリゾートだけあって、早朝から多くの人がサーフィンをしていた。ジョギングやウォーキング、サイクリングなどの人も多かった。滞在していたコンドミニアムからしばらくが公園になっていて、芝生のところどころに白いベンチやテーブルが置かれている。その向こうのビーチ沿いのカフェでは人々がコーヒーを飲みながら景色を眺めたり、語り合っている。これらが朝日に映えて実に美しいのだ。僕も最初は周辺の散歩から初めたが、まわりの景色を眺めながら、知らない間に走り出していた。

当初はジョギングが目的だった僕の朝型生活だが、今では週末にときどきウォーキングをするくらいで、普段は本を読んだり、調べ物をすることが多い。

朝型のメリットや、朝型になる方法などはいろいろ本も出ているので、ここでは語らない。しかし、そもそも早朝は一日で最も景色が美しい時間帯だ。それはビーチリゾートに限らず東京でも同じことだ。この時間に眠っているのはいかにももったいない話だと思う。

インターネットで見つけたマルチドの写真。四棟の高層ビルの一番右のコンドミニアムで滞在した。この時の滞在記をウェブにしてあるので興味のある方はどうぞ。オージー・イングリッシュ入門 




2008年9月20日土曜日

ITエンジニアのためのロードレーサー考

僕の書斎の片隅に自転車が置いてある。ロードレーサーといって、ツール・ド・フランスなどで使われるのと同じタイプだ。

僕は自転車が大好きで、以前は片道10Kmの道をこれで通勤していた。普段でも20Km程度なら車でなく、自転車で行っていた(ただし荷物がない場合)。当時、家内の実家まで約75Kmあったが、里帰りのときは家内と子供は車で、僕は自転車で行っていた。まったく休憩なしで200Kmの距離を5時間かけて走りきったこともある。

自転車というとマウンテンバイクやママチャリを想像する人も多いだろうが、ロードレーサーはそれらとはまったく別の乗り物だ。ママチャリが軽自動車とすれば、マウンテンバイクはジープ、ロードレーサーはF1だろうか。走るために特化した、それ以外のあらゆる不要な要素を削ぎとった乗り物がロードレーサーなのだ。

実際乗ってみるとそのスピードに驚く。少し気合を入れると30Kmはすぐに超える。瞬間なら40Km以上、下り坂なら60Kmは有に出る。もちろんこのスピードで落車すると命にかかわるのでセーブする。ツール・ド・フランスなどは100Kmを超えるので時々死人が出る。ロードレーサーは人間が自分の力だけで最も早く走れる乗り物だろう。

適度な有酸素運動はストレスを解消し、体脂肪を減らし、心肺機能を強化する。これほど健康によいことはない。ジョギングでもよいのだが、自転車、それもロードレーサーが一番効果的だそうだ。通勤に使うのが一番だが、東京ではいろいろ制約がある。僕もスーツやカッターシャツをロッカーに入れておいて毎朝トイレで着替えたりと結構大変だった。やはり普段は量販店で買った自転車で風を楽しみ。週末はロードレーサーで快適にというのがベターな選択かもしれない。

僕の愛車はカリフォルニアのスペジャライズトという会社のカスタムメイドだ。ロードレーサーは身長や体型に合わせたカスタムメイドが普通で、値段は当時で約20万円。ただの自転車ではなく世界最速の乗り物、自転車のF1だと思えば高くはないでしょう?冬のボーナスで買っても決して後悔しませんよ。

2008年9月13日土曜日

僕が会社の飲み会に行かない(行けない)理由

現在担当しているプロジェクトの打ち上げの案内のメールが来た。しかし、今回も行かない(行けない)だろう。酒が嫌いなわけではない。どちらからと言うと好きなほうだ。嫌いなのは酒ではなくて煙草なのだ。

以前は多少無理をしてでも行っていたのだが、ここ数年はますます拒否反応が顕著になって、受動喫煙だけで胸がむかむかするし、しばらく体調が悪くなる。だから忘年会や歓送迎会にも行けない。僕が煙草嫌いなのを知っている同僚は「煙草は別のところで吸います」と言ってくれるときもあるが、その人が吸わなくても他の客が吸えば同じことだ。

例外がまったくないわけではない。例えば個室の焼肉屋などは気が向けば行くことがある。焼肉が特に好きだと言うことではなく、焼肉屋は普通はかなり強力な換気扇が付いている。それで個室なら同席の人が吸わなければ害は最小限に抑えられる。しかし、焼肉が好きな人ばかりではないし、こちらからそうしてくれと言うわけにはいかないので本当に稀だ。

ある医学者は「喫煙とはゆっくりとした自殺行為である」と言っている。なら、非喫煙者にとって「喫煙者とはゆっくりとした殺人者である」と言える。大相撲のロシア出身力士がマリファナ吸引で解雇されたが、煙草の害がマリファナより大きいことは医学的に確からしい。両者の唯一の違いは合法か非合法かだけなのだ。法的見地ではなく、社会的・健康的見地からすれば煙草を吸った力士も解雇されるべきだろう。

いずれにしても煙草を吸うのは本人の自由だが、毒をばら撒く権利は誰にもない。あらゆる公共の空間、オフィスは当然だが、駅や店舗、飲食店などでの喫煙を法律で禁止・規制していない国は、先進国では日本をはじめごく少数になってきた。神奈川県で禁煙条例を検討しているそうだが、やはり早急に東京なども共同歩調を取ってもらいたいものだ。

2008年9月5日金曜日

Google Chromeを使ってみました

Google Chrome を使ってみた。外観は極めてシンプルだ。インストール直後の設定ではホームページのアイコンさえない。オプションも基本設定、詳細設定、高度な設定の三種類だけ。詳細設定など、ダウンロード先、パスワードを保存するかどうか、フォントと言語の変更の三つだけで、どこが詳細なのかと思ってしまう。ただ、描画は極めて早く、その点では非常に快適だ。

 
ちょっと違和感があるほどのこのシンプルさは何を意味しているのだろうか。Google Chromeはアプリケーションではなく、基本ソフト(プラットフォーム)だと考えれば納得がいく。すでに基本ソフトが多機能を前面に出してしゃしゃり出る時代は終わったのだ。基本ソフとトはあくまでアプリケーションを快適に動かすためのもので、そのための安定性、信頼性、堅牢なセキュリティがあればよい。高層建築の基礎のようなもので、本来はユーザーが意識する必要のないものだ。
 
一方、アプリケーションの主役はパソコンのローカルからウェブへ徐々にその主役が移りつつある。SaaSなどがその代表だし、オフィスソフトも普段はMS Office よりGoogle DocやCalender。OutlookよりGmail を使う人も少なくない。この傾向は今後ますます強くなるだろう。ブラウザはアプリケーションを動かすための基本ソフトなのだ。
 
そう考えると、ブラウザだってシンプルなほど良い。大切なことはウェブアプリケーションが安定、安心かつ快適に使えることだ。ブラウザそのものの存在を忘れてしまうようなブラウザこそ優れたブラウザであるとも言える。
 
僕自身はFirefox党で、その機能や操作性にはほぼ満足しているので、Google Chromeのデビューは悩ましいところだ。しかし、Googleとの親和性を考えると徐々に移行する可能性は十分ある。正式版が出れば今後のGoogle Chromeの方向性を確定するものになるだろう。

2008年8月22日金曜日

50回かけてもつながらないヘルプデスクの話

我が家には4台のパソコンと1台のサーバーがあり、それぞれ無線LANでつながっている。プリンタは1台だけで、僕が普段使っているノートパソコンにつながっているのだが、当然ならが僕がパソコンの電源を入れていないと使えない。家族から不便だと文句を言われていたので、プリンタサーバーを買った。P社の双方向性タイプで値段は8,000円。相場を考えると安いが、でもそこまで必要かなぁ・・・と思いつつアマゾンで半ば衝動買いした。

翌日に届いので、さっそく開封して設定マニュアルを読みながらセットアップを試みた。CDを入れてSetup.exeを実行。マニュアルではインストーラーは日本語のはずなのに表示されたのは英語。「まぁいいか」と思いつつ、進めると肝心のプリントサーバーが認識されない。最新版のドライバをダウンロードしたり、いろいろやってみたが駄目だった。

それでヘルプデスクへ電話してみることにした。まずマニュアルにある通話料無料の電話番号へかけると、「この番号は混雑しているので第2センターへおかけ直しください」とのメッセージ。「おいおい、10時開始で10時1分にかけたのに」しかもこの第2センターとやらは通話料無料ではなく普通の電話番号だ。それでもかけるといろいろプッシュボタンを押させたあげく「混雑しているのでしばらくして掛けなおして下さい」とのメッセージとともに一方的に切られてしまった。

何回かけても状況は同じ。時間をおいてもまったくつながらない。その日はギブアップ。翌日に会社からかけてみたがかからない。電話した回数は2日間で約50回。つまり500円かかったことになる。

ウェブサイトに質問用のフォームがあったが、「混雑しているので返答に時間がかかります」との表示があった。それでも状況を詳細に書き込んで送信してみた。返事が来たのは3日後。内容は「セキュリティ関係のソフトを止めてやりなおして下さい」という短いもの。「そんなこととっくにやってるよ!」この対応に腹が立って結局返品した。

しかし、はっきり言って詐欺ではないか。50回かけてもかからないヘルプデスクなどないのと同じだ。しかも無料に見せかけてきっちりと電話代を負担させている。P社の製品は前にも一度買ったことがあったが、二度と買う気がないのは言うまでもない。

2008年8月17日日曜日

50年後のFORTRANの姿

僕はプログラマではないので、もちろん本格的なプログラムを作ることはない。しかし、ちょこちょことスクリプトを書くことはよくある。最近はWindowsの仕事が多いのだが、BATはあまりにお馬鹿さんだし、VBSは記述性が悪いので好きではない。インターネットの初期の頃は動的ウェブサイトといえばPerlという時代があって、ある程度本格的にやったことがある。それで今でもPerlを良く使う。Active Perlは僕にとっては標準インストールツールだ。

プログラム言語も今は数え切れないくらい種類があってややこしい。僕の学生のころはCOBOL,FORTRAN、Cくらいしかなかったのだが(年がわかりそうだ)。世界最初のプログラム言語であるFORTRANが生まれたのは1954年だから、今年で54歳ということになる。学生のころ授業で少し習ったがあまりまじめに勉強しなかった。

4年前にあるコンピュータ雑誌にFOTRAN生誕50年についてマサチューセッツ工科大学だったかの教授が書いた記事があった。いろいろとFOTRANやらプログラム言語の歴史について触れて、最後に未来について述べた部分があった。

「50年後のプログラム言語がどのようなものであるかを予測することはできないが、現在とはまったく違ったものであることは間違いない。しかし、そのうちの一つはやはりFORTRANと呼ばれているだろう。」

僕はこの文言がとても好きで、いろいろな人に話したことがあるのだが、誰も「面白い」と言ってくれない。

解説すると、「プログラム言語は互換性を維持しながらもどんどん変化していき、長い間には初期のものとはまったく違ったものになる」という意味になる。

ここまで説明すると大抵の人は「あー、なるほど」とは言ってくれるが、今ひとつ面白そうな顔はしない。僕はプログラム言語だけでなく、コンピュータそのものの特徴を実によく表していると思うのだが・・・。

皆さんはどう思います?やはりあまり面白くないですかね。

欧米有力企業が「LGBT」に注目する理由

「LGBT」という言葉をご存知だろうか?「L」はレズビアン、「G」はゲイ、「B」はバイセクシャル、「T」はトランスジェンダー(性同一性障害者)のそれぞれの頭文字を取ったもので、性的なマイノリティを指す言葉だ。それが今大いに注目されているのだ。

理由の一つは人材の確保と組織の活性化だ。組織を様々な属性、国籍、人種、肌の色、宗教、性別、年齢、障害の有無など、を持つ人たちにとって魅力的なものにすれば世界中から優秀な人材を確保しやすくなる。そうすれば組織も活性化するし、相乗効果も期待できる。組織の多様化はグリーバル企業にとって重要課題なのだ。その中にあって「LGBT」は宗教的な偏見も根強く、最近まであまり語られることなく、残されてきた対象だったのだ。

もう一つの理由はビジネスの対象としてだ。「LGBT」は欧米の先進国ではマーケットとしても無視できない影響力を持ち始めている。例えばアメリカでは全成人人口の約8%-10%と言われている。当然ながら扶養する子供がいない場合がほとんどで、必然的に可処分所得が極めて多い層ということになる。その購買力は約77兆円に達しており、なお拡大している。 また、高学歴、高トレンド感度、ファッションに敏感な人が多いという説もあり、その嗜好やニーズに配慮した商品企画を行う会社も多く登場している。さらに「LGBT」は自分達に理解のある会社と取引したり、その商品を買うこと好む傾向も顕著だ。それが多くの企業が先を争って自社の多様性をアピールしている理由の一つでもある。

現在、「LGBT」は日本でも人口の数パーセントを占め、そのマーケット規模は約7兆円と推計されている。小さな会社や組織であっても数人程度の「LGBT」は必ず存在することになる。自分の周囲でテーマとして感じないからといって、該当する人がいないということでは決してない。

 

 

 

 

 

2008年8月9日土曜日

呪われたサーバー?先週発生した障害の話

先週の日曜日の夜の10時ごろ、携帯電話が鳴った。前日、土曜日の朝、にあるサーバーに障害が発生してその対応で徹夜したが、まだ復旧できないので応援に来て欲しいというのだ。ちょっとアルコールが入っていたが、すぐに着替えて都内某所のデータセンターへ駆けつけた。

障害が発生しているサーバーはブラックベリーというスマートフォンと社内のグループウェアを同期させるためのものだ。利用者は役員を中心としたエグゼクティブで、利用開始時間の月曜日の朝7:00までの復旧は絶対だ。日頃は結果報告しか求めないPMが、今回は自宅からオンラインになって時折状況を尋ねてくる。

そのサーバーは1年前に稼動してから故障が相次いだため、担当者の間では半ば冗談で「呪われたサーバー」と呼ばれていた。最初にメモリが故障し、さらにCPU,ハードディスクと故障が続き、数ヶ月前にはマザーボードを交換した。唯一故障していなかったRAIDコントローラーが今回故障したのだ。これで交換していないのは筐体(ケース)だけになった。1年かけて少しずつ新品に交換したようなものだ。

それにしてもなぜこんなに故障が続くのだろう。個々の部品についてはもちろん保障期間があるが、通常は故障しないものばかりだ。故障が多いものの代表と言えば昔からハードディスクだが、それとて現在は技術の進歩で平均故障間隔は20年~30年だ。これは故障しないと同義のはずなのだが。実際、僕の自宅のサーバーは普通のPCでハードディスクはジャンクのIDEだ。サーバーなので24時間稼動だが、2年以上一度も故障していない。

あたりが悪いと言うか、ロットが悪かったと言えばそれまでだが、これだけ重なる可能性はそれこそコンマ以下2桁、3桁の世界だろう。

データベースの復旧に時間がかかったものの、結局月曜日の朝の6:30になんとかサービスを再開した。「お疲れ様でした。明日はおはらいですね」とは自分でもあまり面白くないジョークだった。

 

2008年8月2日土曜日

シンクライアントの最終型

数年前からセキュリティ・情報漏えい対策の決め手として注目されているシンクライアントだが、ここへ来て普及が足踏みしているらしい。原因は導入・運用に莫大なコストがかかることと、利用上の制限がかなり大きいことだ。

いくつかある方式のうち、現在実用的とされているのは仮想PC方式とサーバーベース方式だ。

仮想PC方式はVMwareやXen Desktopなどの仮想化技術を使って全ユーザーに専用の仮想PC環境をサーバー上に構築する方式だ。セキュリティの確保と利用者の操作性を両立し得る優れた方式だが、超高性能のサーバーが大量に必要で、全社に展開するのは莫大なコストがかかる。

サーバーベース方式はサーバー上で稼動する一つのアプリケーションを多数のユーザーが利用する方式だ。仮想PC方式に比べてコスト的にはずっと優れている。しかし、アプリケーション毎にサーバー上での細かい設定やチューニングが必要なことが多く、利用上の制限も大きいのが欠点だ。現在のファットクライアント(=普通のPC)に慣れ親しんだユーザーにはかなりの抵抗があるだろう。

サーバーベース方式のコストが安いと言っても比較の問題で、莫大なコストがかかることには変わりはない。導入例も限定的(社員の一部だけ)という場合がほとんどだ。トヨタ自動車は全社員7万人を対象にサーバーベース方式によるプロジェクトを進めているというが、あくまで例外中の例外だろう。検討の結果、結局導入を断念した会社がほとんどではないだろうか。

オフィススイートやグループウェアなどの主要なアプリケーションをウェブ化できればかなり有力な方式になるかもしれない。もしGoogleが Google Docなどをサーバーアプリケーションとしてパッケージ化して外販すれば業務のかなりの部分は移行可能だと思う。最終的にはそういう方向へ進むと個人的には考えている。

シンクライアント端末大手のワイズ社のラップトップ型端末。あまりスマートとは言えない。これも問題と言えば問題か。





2008年7月21日月曜日

IT技術者にとっての資産運用

資産運用についてはあまり知識はないが、銀行に金を預けるのが馬鹿げていることくらいはわかる。だから、当面必要な資金以外は投資信託で運用している。以下がその方針だ。

1.三大通貨に分散させる。
円、ドル、ユーロに分散して投資している。余裕資金を定期的にストックしておいて、円が高くなると適当なタイミングでドルかユーロに換えて買い増しをする。ドル、ユーロから円のレートは考えない。長期投資が前提だし、メジャーな通貨ならいざとなれば円にしなくてもそのまま使えるからだ。

2.分散型の投資信託が原則。
いずれの通貨でも世界各地の株式や債券に幅広く投資する分散型投資信託を買っている。ただし、ハイリスク・ハイリターン型、ローリスク・ローリターン型、その中間の3種類に分散させている。原則として特別な分野に特化した投資信託は買わない。唯一の例外が後述のUS-REIT だ。

3.リターンは欲張らない。
この方法で資産運用をするようになって10年になるが、平均すれば15%ほどの配当を得ている。上を見ればキリがないが、定期預金の2倍以上あれば良しとすることにしている。

4.短期的な値動きは気にしない。
リターンは円よりドルやユーロが多い。25%の配当があったものもある。しかし、最近サブプライムローンの影響で、US-REIT-アメリカの不動産投資信託-が大幅な元本割れをしてしまった。これとて一時は20%以上の配当があったのだが・・・。もちろん投資に波があるのは当然なので気にしていない。

5.直接の株取引はしない。
自分で直接株を買ったほうがリターンはずっと多いかもしれない。興味はなくはないが、正しい株式投資術を身に付け、実践するには多くの時間が必要だ。時間は作ることはできるが、それはあくまで自分のITのスキルを向上させるために使うべきだ。手数料を払っても投資の専門家にまかせる(=投資信託を買う)のが常道だ。

2008年7月13日日曜日

生リーナス・トーバルスの思い出とオレゴン州

カリフォルニア州は産業が発達しているが、物価も税金も高い。都市部の治安も悪い。それを嫌ってカリフォルニアを脱出するハイテク企業も少なくない。温かい所が好きな会社は東隣のアリゾナ州へ脱出する。そのため、州都フェニックス周辺は砂漠(デザート)が多いことからシリコン・バレーならぬシリコン・デザートとも言われる。一方涼しい所が好きな会社は北隣のオレゴン州に移転する。森(フォレスト)が多いため、最大都市ポートランド(写真)周辺はシリコン・フォレストとも呼ばれ、ハイテク企業の集積地と化している。

ポートランド近郊のビーバートンという人口8万人ほどの小さな町は頓に有名だ。ここにはリナックス財団の本部があり、IBMがリナックス研究所を置くなど、世界のリナックスの総本山とも言える町なのだ。リナックスの開発者であるリーナス・トーバルスが住んでいることでも知られている。

彼は1997年にフィンランドからカリフォルニア州サンノゼに移住。同地のベンチャー企業トランス・メタ社で勤めた後2004年に同社を退職し、ビーバートンに移り住んだ。現在はリナックス財団に籍を置いてリナックスの研究に専念しているカリフォルニア脱出組みだ。

トーバルスを一度だけ見たことがある。確か1998年か99年だったと思う。当時急激に普及しつつあったリナックスに関する最初の大きなイベント、第1回リナックスワールド・カンファレンス・アンド・エキスポがサンノゼのコンベンションセンターで開催された。その時エキスポ(展示会場)をうろうろしていて見かけたあまり冴えない風貌の北欧人がトーバルスだったのだ。そのときは「あー、この人が・・」という程度の印象だったが、今なら緊張して立ち尽くすかもしれない。

トーバルスはその当時も普通のサラリーマンで、週末には愛車を運転してサンノゼのスーパーに出かけて、家族と一緒に買い物をしていたそうだ。現在もビーバートンで同じような生活をしているのだろう。どんな町なのか興味はある。一度行ってみたいものだ。

2008年7月12日土曜日

Citrixのカンファレンスに参加しました

メーカー丸抱えのカンファレンスはあまり好きではないが、Citrixは仕事に直接関係あるので参加することにしている。今年は7月9日に渋谷の東急ホテルであった。

キーノート(基調講演)のCitrix日本法人の社長の話はまったくつまらなかった。いかにも日経あたりの記事を適当に混ぜたような内容でくだらない。そう言えば去年もくだらなかった記憶だけがある。来年から止めればいいのに。

それに比べてフロリダの本社から来た上級副社長の話はなかなか興味深かった。話もポイントをついていて、Citrixが方針、目指すものが良く分かる。資料の使い方も実にうまい。今年は一人だが、昨年は社長以下幹部が大挙して来日し、それぞれ講演したがいずれも面白かった。

アメリカのビジネス界ではプレゼンは必須の技術で、うまくできないと、まともに出世もできない。鍛えられているのだ。時間もピッタリと終わる。事前に十分に時間をかけて、きちんと内容を吟味しているし、練習もしているのだろう。

ランチセッションのインテルの部長の話はほとんど自社の宣伝だったが幕の内弁当がうまかったので合格。

午後のCitrixの現場の部長の話は結構良かった。プレゼンはそう大したことはなかったが、内容の具体性がそれを十分にカバーしていた。一生懸命メモを取ったのはこのセッションだけだった。

それにしてもなぜ最後にQ&Aがないのだろうか。アメリカのカンファレンスでは最後に必ず質問を受け付ける。そして、内容の面白さと質問の多さは完全に比例する。公演の後もスピーカーの前に質問の行列ができることもある。質問する人だけでなくそれを聞いている人にとっても貴重なものだし、スピーカーにとっても大切なレスポンスなのだ。Citrixの担当者は質問は展示コーナーなどで個別にしてくださいと言っていたが、心得違いだ。

2008年7月3日木曜日

アメリカ大陸横断の旅

以前、アメリカンドライブの話をしたが、知人がアメリカ大陸の横断ドライブを行った。彼女(日本人)はウェブ・デザイナなのだが、ご主人(アメリカ人)の転勤で、日本→サンフランシスコ→カンサス・シティ→再度サンフランシスコと引越しを繰り返し、今度はニューヨーク州バッファロー市に移ったのだ。バッファロー市(Buffalo)は五大湖のひとつエリー湖の東端に位置する。都市圏人口は約100万人。ニューヨーク州ではニューヨーク市に次ぐ第2の都市だ。もちろん普通は飛行機で移動するのだが、こんな機会はめったにないと車で横断することにしたのだそうだ。

アメリカを横断する高速道路はいくつかあるが、80号線(Interstate 80、通称I-80)はカリフォルニア州サンフランシスコとニューヨーク州の隣、ニュージャージー州ティネックをび総延長は2900マイル(4600キロメートル)に及ぶ。これはワシントン州シアトルからマサチューセッツ州ボストンを結ぶ90号線に次いで長い。文字通り大動脈だ。カリフォルニア州内でもサンフランシスコから州都サクラメントを結んでいる。僕の住んでいた町もその途中にあったので、サンフランシスコに行く時はいつも通っていた懐かしい名前だ。

アパートから荷物と車1台を見送った後、もう1台の車に夫婦と猫2匹を乗せてサンフランシスコを出発。80号線をひたすら東へ向かう。1日6-8時間を夫婦で適時休憩を取りながら交代で運転する。夕方になれば通りかかった適当な町のモーテルで泊まる。

途中ネヴァダ州、ユタ州、ワイオミング州、ネブラスカ州、アイオワ州、イリノイ州、インディアナ州、オハイオ州、ペンシルバニア州を経由し、目的地ニューヨーク州バッファロー市の着いたのは5日後だったそうだ。

アメリカ在住20年近い彼女も「アメリカという国の広いこと広いこと。何んでこんなに広いのかしら。こんなに広いんだから日本に一つくらい州くれればいいのに・・」と思ったとか。

二人は今では郊外に家を買って快適な生活を送っている。ちなみに「引越しはもう十分。ずっとここで生活したい」そうだ。東北出身の彼女は「ここはカリフォルニアと違って冬にはちゃんと雪が降るの」のも気に入っている。

80号線-サンフランシスコからベイブリッジを渡ってすぐのバークレイ付近。このあたりは片道5車線もある。ただし、郊外などの大半は片道2車線。

2008年6月23日月曜日

あるアメリカ人IT技術者とオフショア・アウトソーシング

友人にシリコンバレー在住のIT技術者(アメリカ人)がいる。年に数回程度メールのやり取りをしていたのだが、先日久しぶりに電話(Skype)で話をした。

彼は元空軍のコンピュータシステム担当の軍曹で、10年ほど前、38歳の時に退職した。アメリカ軍は給料は安いし、戦争があれば文字通り命がけで働く必要がある。しかし、無料でいろいろな教育を受けられる。20年間勤続すると恩給がもらえるし、退職後も医療費もほとんど無料、住宅ローンも格安で借りられる。だから裕福でない家庭に生まれると高卒後にすぐに軍に志願し、20年後、つまり38歳で除隊して第2に人生を始める人が少なくない。彼もその一人だ。

彼は幸運にも軍でコンピュータの教育を受け、技術と経験を持っていた。さらには最後の勤務地がシリコンバレーの近くの基地だったので再就職先を見つけるのも苦労はなかった。中古だが郊外に家も買った。

しかし、その生活が大きく変わった。ある日マネージャに呼ばれて「君の仕事はインドの会社に任せることになった。今月一杯で解雇する」と言われた。「インドにアウトソースすれば君の給料の半分で済む。なぜ君を雇い続ける必要があるんだね」との言葉に声もでなかったそうだ。

アメリカではインドへのオフショア・アウトソースは想像以上のペースで増加している。彼と同じ理由で仕事を失った中堅クラスの技術者はかなりの数になる。彼は経験豊富な技術者だが、特別に高度な技術や特殊な専門分野を持っているわけではない。学歴も高卒だ。もっともアウトソースされやすいクラスなのだ。

「経験豊富なんだから、きっといい仕事が見つかるよ」としか彼にかける言葉は思いつかなかった。しかし、実際は難しいだろう。

日本でも周りを見渡せば驚くほど仕事が中国にシフトしている。僕の職場でもプロジェクトメンバーの約10%は中国人だ。ミーティングは電話やウェブなどを使ったコラボレーションツールで中国から参加している。

身を守る方法はたった一つしかない。自分の知識や技術を高める努力を惜しまず、常に自己投資することだ。「IS YOUR JOB NEXT?」はアメリカに限ったことではない。

2008年6月8日日曜日

スマートパッキング-海外旅行の鞄の中身

今年もいよいよ夏休みのシーズンがやってきた。夏休みと言えば旅行。IT技術者は何があっても連絡が取れない海外旅行で決まりでしょう。

海外旅行と言えば悩みの種が旅行鞄の中身。成田空港で山のような荷物を持っている人をよく見かけるが、荷物は少ないに越したことはない。僕は年に1-2回は海外へ出かけるが、その度に絞り込んで本当に最低限必要なものだけ持って行くようになった。僕の鞄の中身を紹介しよう。

鞄は機内持ち込みだけ
まず、大原則として鞄は機内持ち込みのみだ。旅行用品店に行くと、機内持ち込みの最大サイズのキャリングバックを売っているが、あれに全てを詰めていく。機内持ち込みだけなら到着後バゲージ・クレイムで長時間待つことなくすぐに行動に移れるし、現地での移動も便利だ。

睡眠薬
滞在中、時差ぼけで睡眠不足になる人は多いはず。寝る前に1錠飲めば熟睡でできる。僕はホテルだけでなく、飛行機の中でも機内食が終わればすぐに飲んでひたすら寝る。普通の内科などで事情を話せば簡単に処方箋を書いてくれる。かなりお薦め。

最低限の現金
空港内の両替所で1、000ドルも換えている人がいるが、旅慣れていないなぁと思う。僕はいつも20ドル札を5枚のみ。支払はほぼ全てクレジットカードなので、足りなかったことはほとんどない。非常時には日本の銀行のキャッシュカードでもたいていの現地のATMから引き出すことができる。ただし、カード類は予備を含めて2枚ずつは持っていたほうがよい。

ノートパソコン
鞄の中身で一番重いのがこれ。現地の観光情報を集めたり、ホテルの予約をしたり交通手段を調べたりと何かと便利。僕はアメリカへ行くことが多いが、パソコンショップで買ったアメリカの道路地図ソフトをインストールしてある。GoogleやYahooの地図はオフラインでは使えないのでかなり重宝する。

その他
着替えは着ているもの以外に2組と決めている。下着は薄手のドライタイプ。シャツはノースリーブ。旅行中はホテルで手洗いすることになるので、洗い易く、乾き易いものが一番。

一週間の旅行ならたったこれだけ。あれも便利、これもあったほうが・・などと考えるとどんどん増えてしまう。どうしても足りなければお土産を兼ねて現地で買えばよいと割り切ることが大切。実際そんなことになることはめったにないし、なったらなったで良いではないか。

2008年6月7日土曜日

iPhoneはソフトバンクに決定!

iPhoneの日本での販売は予想通りソフトバンクに決まった。よかったと思う。iPhoneはドコモには似合わない。日本の携帯電話を世界の潮流からかけ離れたものにした張本人は他ならぬドコモだ。これを携帯電話のガラパゴス化と言うそうだが、うまい言い方だ。もちろん隔離された場所で他の世界とまったく違った進化を遂げたガラパゴス諸島の生物に例えている。お財布携帯やワンセグはさしずめ、ガラパゴスゾウガメやガラパゴスイグアナだろう。

通信システムで最も大切なことは世界標準を採用することなのだ。僕はアメリカへ行くたびにアメリカの携帯電話を持って行く。規格が同じなら爪の先ほどのICチップを交換するだけで、使い慣れた携帯電話がそのまま使えるのに。

携帯電話のような電子機器は本来日本メーカーが最も得意とするはずの分野なのに、海外ではまったく駄目なのもガラパゴス化したためだ。ガラパゴスゾウガメは所詮ガラパゴス諸島以外では生きられない。

実は昨年iPhoneを触る機会があった。11月にアトランタで開催されたアパッチ・ソフトウェア財団主催のカンファレンスに参加したとき、近くのショッピングモールの中にあったアップルストアに置いてあったのだ。発売して半年たっていたが、大変な人気で、触るのに順番待ちが必要なほどだった。後ろで待っている人に気兼ねして、触ったのは10分ほどだったが、噂どおりの抜群の操作性には感動した。

日本ではiPhoneのエンターテイメント性ばかりが注目されている感があるが、無線LANやBluetoothが使えたり、フルブラウザを搭載していたりでビジ ネスユースにもかなり使えそうだ。iPhone+Google+自宅ウェブサーバーは極めて強力なビジネスツールになるに違いない。文字を入力する機会が多いならBlackBerryのようなQWERTYキーボードが有利だが、そうでなければ現在のところ他に選択肢はないだろう。

後は通信費を含めた価格設定だ。ソフトバンクはアップルにかなりの上納金を収めるそうだから980円は難しいだろうが・・・。

2008年6月4日水曜日

自宅サーバーとディザスタリカバリ

数週間前から自宅のWindowsサーバーが時々フリーズするようになった。そのたびにリセットしていたが、頻度がだんだん多くなり、ついに本格的に対応せざるを得なくなった。この手の障害の原因はいろいろ考えれられるので切り分けが難しい。毎週システムディスクのイメージを取っているのでリストアするのが一番簡単だが、それでは根本的な問題解決にはならない。あくまで最後の手段だ。

とりあえずマルウェアを疑ってSymantec Anti Virusでスキャンしてみたが異常はない。さらにプロセスやレジストリで怪しげなものはないかをチェックしたりしたが、特におかしいところはない。どうやらその種の原因ではなさそうだ。セキュリティパッチが影響していることもあるが、リリース時期と一致しない。念のためにGoogleってみたが、それらしい情報はない。原因になりそうなドライバをいくつか削除して再インストールしてみたがだめだ。うーん、困った。

いろいろ調べていると、ハードウェア寄りの現象っぽい気がする。でも、最近インストールしたり、動作が変なハードウェアはない。ほとんどギブアップしかけたが、最後にマザーボードにささっているコネクタ類を全部はずして接続し直してみた。すると嘘のようにフリーズしなくなった。こんなこともあるんだなぁ。

朝食後に始めて、終わったのは夕方近く。日曜日をほとんど丸々費やした。原因がわかって嬉しいのは確かなんだけど、あまり充実感がない。せっかくの休みなのに、無駄な時間を過ごしてしまったってね。

メールにしろ、ウェブにしろ、Googleのサービス(Google Apps)でほとんど対応できる。独自ドメインも使えるし、非商用なら無料だ。もちろん自宅サーバーのメリットは非常に大きいが、可能な部分はGoogleに移して二重化し、障害時に切り替えることは可能だろう。ディザスタリカバリは大規模システムの専売特許ではない。




2008年5月31日土曜日

アメリカの履歴書の書き方

日本の履歴書は面白みがない。市販の用紙を使うことが義務付けられているため個性が出せないのだ。アメリカの履歴書は自分で自由に書式や構成を選んで作成する。字体も自分でアレンジして、少しでも見やすく分かりやすいように工夫する。職務経歴も兼ねているので、大いに参考になる。

まずはカバーレターから
自分が応募するにいたった理由や熱意など、履歴書には書けないことを簡潔に書く。採用担当者が最初に見る文章なので、非常に大切だ。レターヘッド付きの便箋を使う人も多い。

 
写真は貼らない
履歴書に書く個人情報は、名前と住所、電話番号、電子メールアドレスくらいだ。写真の添付もしない。書類選考の段階で年齢や性、人種あるいは美醜などで差別されるのを防ぐためだ。雇用者側も要求することはない。不採用になった場合に、雇用差別で訴えられたら絶対に勝てないからだ。


職歴、学歴の順番も逆
大切なこと、つまり新しいことから書くのが原則だ。まず現在の業務上の能力をアピールする。そして現在または直近の職業を書く。会社名や所属部課だけでなく、具体的にどのような仕事をして、どのような成果を上げたかを簡潔に分かりやすく書く。そして過去にさかのぼって職歴を書いて、最後に学歴となる。

アメリカの企業は即戦力の人材を求める
アメリカ人は専門職志向が強く、会社側も雇った人間を長い目で見たり、金をかけて教育するという意識が希薄だ。応募にあたっても職務内容を細かく分けて、その分野に精通した、即戦力の人材を求める傾向が強い。

履歴書は重要なツールだ
採用されるためには、自分がいかに会社が必要とする職務に適しているか、説得する必要がある。履歴書はそのためのマーケティングツールなのだ。そのために少しでも良い印象を与えようとフォーマットや字体に凝るわけだ。大きな書店には履歴書のハウツウ本専門コーナーがあって人気コーナーのひとつだ。また履歴書作成専用のソフトなどもあり、ウィザード形式で質問に答えれば、体裁の良い履歴書を自動的に作ってくれたりする。日本でもアメリカでも就職・転職は人生の一大行事である事に変わりない。

2008年5月23日金曜日

ムーンライト・ジョブの勧め

僕の周りにも副業を持っている人が意外といるようだ。日本では就業規則で禁止している会社も多いのであまり大っぴらにできない。よほど親しい人でないと言わないが、なんとなく様子で分かることがある。

英語にはムーンライト・ジョブ(moonlight jpb)という言葉があって、セカンドジョブ(second job)、つまり副業のことだ。フルタイムの仕事が終わった後で、月明かりの下でする仕事という意味で面白い言葉だ。

これに対してアンダー・ザ・テーブル・ジョブ(under the table job)という言葉もある。これは人に見られないように、お金をテーブルの下で受け渡しするという意味で、税務署などに収入を申告しない仕事のことを言う。仕事そのものは合法でも、申告しなければもちろん違法だ。

アメリカではサマータイムが3月から11月までと長いので、仕事を終わってもかなり遅い時間まで明るく、ムーンライト・ジョブがやり易い。フルタイムの仕事の後や週末に他の仕事をすることは決して珍しいことではない。

僕の副業歴も結構長い。ここしばらくはライターをしている。たまたまある出版社の人と知り合い、インターネット関係の雑誌に短い記事を書く機会があったのが最初だった。以降、雑誌を中心にコンピュータ関係の記事やコラムを書いてきた。ウェブマガジンやメールマガジンの仕事もわりとある。ライターはどこかに出勤する必要がないので、副業としてはやり易い。ただ、締切がタイトな場合が多いので結構大変だ。

副業をするのは必ずしも金のためだけではない。同じ会社で同じような仕事ばかりやっているとマンネリになりやすい。ちょっと違う仕事をしたり、同じような仕事でも違った環境ですると良い刺激を受けたり、気分転換になるからだ。週に数回、数時間程度なら本業にも良い影響を与えるだろう。異業種交流会や各種のカンファレンスに出席するのとやや似ているかもしれない。

確定申告は面倒なようだが、すぐに慣れる。副業をすると収入は増えるが、仕事によっては経費として認められるものも多くなるので、税金が増えるとは限らない。アンダー・ザ・テーブルではなくてムーンライトで行こう!
写真はアメリカの確定申告書(Tax Return)。

Taxreturn



2008年5月10日土曜日

シリコンバレーの技術者はマイクロソフトが嫌い

マイクロソフトによるYahoo買収劇はやっぱりというか予想通り失敗に終わった。印象的だったのはYahooの創業者でCEOのジェリー・ヤンの感情的とも取れるマイクロソフト嫌いの姿勢だった。彼以外にも、オラクルCEOのラリー・エリソン、アップルCEOのスティーブ・ジョブスなど、シリコンバレーにはマイクロソフト嫌いに事欠かない。それについては思い出すことがある。

アメリカ人は仕事の帰りに飲みに行くという習慣があまりない。全然行かないという訳ではなく、僕もたまには同僚とダウンタウンにあるバーに飲みに行くことはあった。話題は日本と同じで、仕事の話、ボスの話、女の子の話と他愛無い。話題がつきかけるとたいていマイクロソフトの話になる。「あんな会社はShit(くそ)だ」ということで話が再度盛り上がる。彼らは自立・独立精神に溢れ、自由を愛し、反権力の芸術家肌が理想の技術者だと思っている。自分達の価値観と正反対にしか見えないマイクロソフトが嫌いでたまらないのだ。

クパチーノ(アップル本社のある市)にあるハイテク企業に行ったことがあるが、オフィスに入った途端絶句した。受付には血だらけの白衣を着た看護婦が座っていて、カウンターにはやはり血だらけの切り取られた前腕がピクピクと動いているではないか。

その日はハロウィンだったのだ。オフィスの中を案内されたが、カボチャや蜘蛛の巣などハロウィンの色々な飾りつけがしてあり、廊下にはフランケンシュタインやドラキュラ、はてはライオンの扮装をした人が歩いている。その会社ではハロウィンでは毎年自由に飾りつけをしていいし、費用は会社が負担するそうだ。

「マイクロソフトじゃこんなことはしなだろうな」とボソッと言ったのが聞こえたらしく、彼はうなずきながら答えた。「わが社は技術者にネクタイをさせるような会社ではない」

もちろんマイクロソフトの技術者が実際にネクタイをしているという意味ではなく、権威主義や覇権主義、自由でないものの象徴として言っている。これはもはや理屈ではなく文化の違いだろう。

ハロウィンは子供だけでなく大人のお祭りだ。シリコンバレーではこんなオフィスも珍しくない。

Halloween

2008年4月30日水曜日

アメリカン・ドライブを楽しむ旅の勧め

日本ではもう10年以上車を運転していない。自宅にも車はない。しかし、まったく車を運転しないわけではない。年に1-2回アメリカへ行くときは空港を降りればたいていレンタカーを借りて、帰る時に返す。アメリカは公共交通機関が発達していないので、車がないと身動きが取れないのだ。

実はそれ以外にもドライブを楽しむというのも理由の一つだ。アメリカの都市は必ずフリーウェイで結ばれていて、それを車でぶっとばすのは絶好のストレス解消になるのだ。とにかく何もない原野をまっすぐな道が延々と続く風景はまさしくアメリカだ。道は広いし、少し郊外へ出ると交通量も日本よりはるかに少ない。エコノミーカーでもオートクルーザーがほぼ標準装備なので運転もずっと楽だ。むろん通行料など要らない。ガソリンは以前よりはだいぶ高くなったとは言え、それでも日本よりかなり安い。レンタカーも一週間かりて小型車なら120-150ドルと格安だ。

一週間くらい休みを取って、ひたすらロングドライブを楽しむのも面白いだろう。オープンジョーという到着地と出発地が違う航空券を買うのだ。一週間なら1,000マイル(約1,600Km)は十分走れる。アメリカをほぼ南北に縦断できるくらいの距離だ。モーテルで泊まるなら特に予約などは不要だ。夕方になれば通りかかった町で、ぶらっと適当な所へ入って「I need a room」とでも言えばよい。40-50ドルも出せばこぎれいな部屋で泊まれる。ガソリンもほぼ100%セルフなので、支払いは給油装置にクレジットカードをスキャンさせるだけだ。

昼食はドライブインでファーストフード、夕食はダウンタウンのステーキハウスか、イタリアンレストランででもすませる。海岸沿いなら結構日本人の口に合うシーフードレストランもある。もちろん出発地と飛行機の時間は決まっているのだから、事前に大まかなスケジュールは立てなければいけない。州境を超えればガソリンスタンドでその州の道路地図を買ったほうが良いだろう。それ以外は気ままな旅を楽しむのだ。


YouTubeで見つけたロングドライブを記録した動画。出てくる道は全部通ったことがあるので懐かしい。




2008年4月27日日曜日

祖国、そして故郷を思うそれぞれの心

知人の中国人が帰国することになった。彼は高校生のときに姉を頼って来日し、以来16年間も日本で住んでいる。もちろん大学も日本だし、就職も最初から日本の会社だ。一貫してITエンジニアとして勤め上げ、上司や同僚の信頼も厚い。しかも中国語以外にも日本語も英語もできるトライリンガルだ。帰国しても経済的にはかなり恵まれた生活が送れるだろう。

しかし、一方中国には自由がないことも確かだ。参政権もないし、報道の自由もない。基本的人権も保証されていない。彼にとってこのまま日本ですみ続けることも選択肢だったに違いない。帰国する理由は家族のためと言っていたが、僕も詳しくは聞かなかった。海外在住者にとって祖国への思いは特別で複雑なものだ。簡単には聞けないし、聞かれても答えられるものでもない。

僕もアメリカで住んでいたのでよく分かる。アメリカは色々な問題があることは確かだが、基本的には住みやすい国だ。特にカリフォルニアは気候も温暖で食事も美味しい。留学やビジネスで訪れてそのまま住み続けてしまう人も少なくない。にも係わらず20年も住んだアメリカを捨てて日本に帰国した知人が何人かいる。外国に住んだことがなければ故郷に置き換えればやや近いだろう。

えっ、僕はどうだったのかって?イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」の最後の一節で察して欲しい。

Last thing I remember, I was running for the door. I had to find the passage back to the place I was before. 'Relax,' said the night man, 'We are programmed to receive. You can check-out any time you like, But you can never leave!'

原野を果てしなく貫くフリーウェイ。僕にとってのカリフォルニアの原風景だ。

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2008年3月29日土曜日

「Hello」と「Moshi Moshi」の関係

シリコンバレーで働いていたとき、家内も同じ会社で経理の手伝いをしていた。夕方になると同じビルにある銀行へ現金を預けに行くのが日課で、当然銀行員と「Hello」とか「Hi」とか挨拶を交わす。そんなある日、家内がいつものように銀行へ行くと、顔見知りの銀行員がにっこり笑いながら「Moshi Moshi」と言った。家内は何の事かわからず、怪訝な顔をすると、銀行員は「Hello」と言い直した。家内は銀行からの帰りに「Moshi Moshi」ってどういう意味だろうと真剣に悩んだそうだ。

実は、その銀行員は家内が日本人だと知っていて、日本語で「Hello」と言ったつもりだったのだ。なぜそれが「Moshi Moshi」なのか。アメリカ人は電話に出たとき「Hello」と言う。つまり「こんにちは」だ。一方日本人は電話に出たとき「もしもし」という。これをアメリカ人が目撃すれば「ああ、日本語では Hello は Moshi Moshi と言うんだ」と考えるのは当然だ。そしてその銀行員は毎日来る日本人を喜ばそうと日本語で「こんにちは」と言おうとしたのだ。ようやくそれに気付いた家内は、翌日その銀行員に説明したそうだが、顔を赤らめて恥ずかしがっていたとか。

これはアメリカ人の例だが、日本人の英語についての勘違いもたくさんある。僕もこの銀行員以上に恥ずかしい失敗は数限りなくしている。原因の多くは日本語をそのまま英語に当てはめようととした事だ。英語でしゃべったり、書いたりするときは最初から英語で考えるのが鉄則だ。そうすれば稚拙な英語にはなるが、間違いの少ない、通じやすい英語になる。



2008年3月25日火曜日

今年はLANが生まれて30年

今年はLANが生まれて30年目だそうだ。最初はシリコンバレーのど真ん中、パロアルトにあるゼロックスの研究所で複数のワークステーションでレーザープリンタを共有するために生まれた。

誕生20年のときは僕と家族はシリコンバレーにいた。当時はインターネットといえばダイアルアップ接続だった。Linuxをインストールした安物のPCをルーターにして、ダイアルアップ接続し、ハブを介して3台のPCをインターネット接続したのが我が家の最初のLANだった。もちろん非常に遅かったが、当時はテキスト中心で、あまり重いサイトもなく、メールと、会社のネットワークに入ってサーバーの管理をする程度だったので何とかなった。

アメリカの家庭用の電話は同じ市外局番への通話は無料だったので、ほとんど24時間つなぎっぱなしにして、そのLinux上で自分のドメイン使ってウェブサーバーやメールサーバーを動かしたりもしていた。当時でもさすがにアナログダイアルアップでサーバーを運用していた例は少なかっただろう。

現在の我が家のLANはもちろんADSL+ワイヤレスだが、PCは3台、サーバーが1台という構成は当時と変わらない。

あと10年たてばLANがどうなっているかわからないが、無数のワイヤレスデバイスがそれぞれ直接インターネットにつながるような形になっているかもしれない。

最初にLANにつながれたゼロックスのワークステーション

画像ファイル "http://www.catb.org/~esr/writings/taouu/graphics/03g.jpg" は壊れているため、表示できませんでした。

2008年3月23日日曜日

マイファミリーブーム・ホームベーカリー

昨年ホームベーカリーマシンを買った。大分前からあった調理家電だが最近何度目かのブームだそうだ。作り方は簡単で、強力粉、砂糖、塩、バター、イーストを入れてタイマーをセットしておけば、朝には焼きたてのパンができているという優れものだ。しかも、これがなかなかの美味なのだ。パン屋のパンも美味しいが、いかにプロの味でも、焼きたてにはかなわない。

これを買ってから我が家では週末の朝食を作るのは僕の仕事になった。パン以外はウインナーやベーコン、目玉焼き程度だが、少しだけ早起きして作る。できたてのコーヒーの香りを合図に家族が集まってくる。ときどきレーズンやナッツ入りのパンを焼いたりもする。これも美味しくて家族にも好評だ。

ホームベーカリーは最近アメリカでも静かなブームらしい。実はアメリカ人は意外とパンを食べない。現在のアメリカ人の食生活は、朝食はほぼ100%がシリアル。夕食は肉類に豆とジャガイモ。パンはわずかに昼食のサンドイッチやハンバーガーか、せいぜい夕食の付け合せ程度だろう。ここへ来てのパンへの回帰は、食材の高騰、食品の安全などいろいろな要素が絡んでいるのかもしれない。


2008年3月20日木曜日

固定接続としてのワイヤレスデータ通信

もうすぐ一人暮らしを始めるという甥っ子に頼まれて、近くの家電量販店でイー・モバイルのデータカードを買ってきた。乗換えキャンペーンとかで、以前使っていたウィルコムのデータカードを見せたらPCカード型のものが1円だった。

さっそくセットアップ。パソコンにCDを入れてウィザードの指示通りにユーティリティやドライバーをインストールすると約10分で終了。インターネットにつないでみると、思った以上にサクサク動いてなかなか快適だ。

料金は2年縛りで月額4,980円。ADSLや光ファイバーも早くて良いが、手続きや工事が面倒だし時間もかかる。接続するPCが1台だけなら、モバイル環境でも使えることを考えるとお得だろう。

もっとも彼はモバイル環境のインターネット接続はほとんど必要としていない。にも関わらず、最初からワイヤレスデータ通信しか考えなかったそうだ。既にSkypeIn/Outを契約して電話番号を取得している。それに携帯電話を併用すれば従来型の電話回線を引く必要はまったくない。光ファイバーは彼のライフスタイルには完全にオーバースペックだ。そう考えると確かに合理的かつ現実的な選択だ。

10年くらい前、ADSLや光ファイバーはあまり普及しないで、いきなりワイヤレス・インターネット接続の時代が来るという予測があった。それは不幸にして外れたが、少し遅れてそんな時代がそこまで来ている。

2008年3月15日土曜日

自宅パソコン・シンクライアント化計画

自宅では主にThinkPad X30というちょっと古いタイプのノートパソコンを使っている。使えないわけではないし、金もないので当面買い替える予定はない。

それに最近は手元のパソコンで処理したりデータを保存することが急激に少なくなってきた。ThinkPadにはMicrosoftのOfficeも、Open.Officeも入っているが、ほとんど使うことはない。たいていは Google Docs & Spreadsheets だし、たまにOfficeを使うときも、ホームサーバー(Windows 2003 Server)にリモートデスクトップでアクセスしてそちらの方を使う。そのほうが職場などから自由に参照できるので便利なのだ。特によく参照するデータなどはブラウザからダウンロードできるようにしてある。極めて快適で、もう後戻りはできない。このような環境なら高性能で高価なパソコンを使う必要はまったくない。

もちろんサーバーはインターネットに直付けされているのでセキュリティは超重要だ。システムフォルダーやファイルのアクセス権はカスタマイズしてあるし、重要なデータは暗号化してある。システムの変更、ログオンの失敗などの異常なアクセスがあった場合は自動的にメールで携帯電話に通知する。ほとんどはフリーソフトか自作のスクリプトを使って作り上げた。

ThinkPad X300やMacBook Air もいいとは思うが、その値段には驚愕する。そんなお金を使うくらいなら、イーモバイルとかのネットワーク環境を整えた方がずっと良い。次期パソコンはいっそのことEee PCにして、完全にシンクライアントとして使うのも選択肢だと思っている。

無造作に置かれたホームサーバー。ハードウェア的にはまったく普通のPCだ。メモリは2GB、ハードディスクは120GB。UPS(バックアップ電源)もある。

 


2008年3月9日日曜日

行ったことのあるアメリカの州

アメリカには以前は住んでいたし、帰国してからもほとんど毎年のように出かける。行ったことのある州をリストアップしたみた。

カリフォルニア州
シリコンバレーで4年間住んでいたし、旅行でも4-5回は行っている。シリコンバレー周辺だけでなく、サクラメント、ロサンジェルス、サンディエゴなど主要な都市はたいてい行った。

ネバダ州
家族でレイク・タホ(カリフォルニア州とネバダ州にまたがる湖)へ旅行したときに少しかすっただけだけ。レイク・タホはエメラルドのように美しい湖で、今でもカリフォルニアで一番行きたい観光地だ。

アリゾナ州
IT関係のカンファレンスで行った。砂漠が多いことから、シリコンバレーならぬシリコン・デザート(砂漠)とも言われ、ハイテク企業の集積地でもある。

ジョージア州
やはりIT関係のカンファレンスで行った。州都アトランタは南部最大の都市で、地下鉄ではSuicaと同じような非接触型のプリペイド乗車券が使われていた。

ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州、ロードアイランド州、マサチューセッツ州
結婚記念日に家内と二人で行った。ただし、ニューヨーク州とマサチューセッツ州以外は車で通過しただけ。マサチューセッツ州の州都ボストンは古い町並みが残る美しい町だ。

ハワイ州
ずいぶんと昔だが、新婚旅行で行った。家内とはできれば一週間くらいゆっくり滞在してみたいと話すときがある。

こうリストアップしてみると10州に行ったことになる。中部にはまだ行ったことがないので機会があれば是非行きたい。他にもいろいろな国々へ行ってみたいと思うときもあるが、アメリカにもまだまだ行きたいところがたくさんある。

2008年3月7日金曜日

通勤電車グッズあれこれ-耳栓-

通勤に片道2時間近くかかるので、その有効活用は非常に大切だ。当然そのためにはグッズが必要になる。必要最小限で、利用頻度が高く、できるだけ軽いのが条件だ。一般的なのは新聞や本だろう。僕は新聞を取っていないので、本はもちろん必需品だ。英語の小説は常時鞄の中に入れてあるし、IT関係のニュースサイトの記事のプリントアウトもたいてい持参している。

しかし、これらを読むときの大敵が騒音だ。中でも話し声は集中力を極度に削がれる。高校生・大学生の輩はこれが多く実に腹立たしい。まさしくビジネスマンの天敵だ。もちろん電車内の会話が禁止されているわけではないので注意するわけにもいかない。そこで最近通勤電車グッズに加わったのが耳栓だ。

机の引き出しに入れっぱなしになっていた、国際線の飛行機で無料で配布された安物を試しに使ってみたら意外と効果的だったのだ。音がまったく遮断されるわけではないが、かなり軽減される。女子高校生の集団でも近くにいない限り、必要最低限の読書環境は確保できる。

もう少し小マシなものならマツキヨやサンドラッグなどの薬店にたいてい置いてある。4~6個セットで300円から500円くらいだろうか。素材はいずれもウレタンで、1-2週間も使うとへたって効果が薄れてくることを考えると少し高いような気もするが、毎日つけるものでもないし、まあリーズナブルな値段だろう。とにかく一度試してみると良い。

Mimisen




2008年2月24日日曜日

Skype専用端末使用記

ソフトウェアフォンはあたりまえだが、パソコンがないと使えない。しかし、Skypeくらい普及しているとパソコンなしで使える専用の端末が発売されている。日本ではLogitecがOEMで販売している。Skypeのキャンペーンに応募したらなんとこの端末が当選してしまった。ちなみにAmazonで買うと約15,000円だ。

形も大きさもストレートタイプの携帯電話とほぼ同じだ。電源を入れると利用可能な無線LANのネットワークを自動的に検索して接続する。同時にスカイプの設定も読み込まれるのでパソコンで入力したコンタクトリストと同じものが表示される。使い方は携帯電話とまったく同じで、電話番号を直接入力してもよいし、コンタクトリストから選択しても通話できる。ただし、チャットなどの機能はないし、メールも使えない。

音質は携帯電話よりも良いし、Skypeへかけるのは当然無料だ。SkypeIn/SkypeOutを契約していれば普通の電話へも携帯電話よりはるかに安い料金でかけられるし、受けることもできる。このあたりが最大の長所だろう。

欠点はブラウザを搭載していないので利用できる無線LANが限定されることだ。ほとんどの公衆無線LANはブラウザからユーザーIDやパスワードを 入力して認証するからだ。ただ、ライブドア・ワイヤレスはMACアドレスで認証できるので使える。また、FONはファームウェアで対応していて利用できる そうだ。WEPやWAPで認証するタイプの無線LANは問題なく使える。

それと、利用できるかどうかは別として、無線LANのネットワークが簡単に検索できるので持ち歩くと面白い。そこらじゅうにネットワークがあって、本当に無線LANは普及しているんだなと思う。特にオープンネットワーク(認証が不要の無線LAN)が多いのに驚かされる。意図的にオープンにしているというより、買ったままでセキュリティの設定をしていない人が多いのかもしれない。

ある程度実用的で、少し高価なおもちゃというのが今のところの感想だ。

Skype



2008年2月18日月曜日

FONを買いました

以前から話題のFON。わずか1980円のラ・フォネラというワイヤレスルーターを買うだけで世界中のメンバーが設置したルーターを自由に使ってインターネットにアクセスできる。今や、世界最大のワイヤレスネットワークになった。アクセスポイントマップを見ると、地域的なバラつきはあるが、ある程度の密度で設置されている。特に東京地区ではライブドア・ワイヤレスとの提携で山手線の内側はほぼ網羅されているし、かなり使えそうな感じだ。というわけで先日買ってきた。非常にコンパクトで、いわゆる「かわいい」デザインだ。電源コネクタとイーサポートが一つあるだけでシンプルこのうえない。

さっそく繋げると利用できるワイヤレスネットワークが一つしか表示されない。説明書によると公開用 (FON_AP)と非公開用(MyPlace)の二つが表示されるはずなのだが、非公開用だけしか見えないのだ。

しかたないので、パソコンのイーサポートと直付けしていろいろ調べてみると、プロバイダ側からIPアドレスが正常に取れていないようだ。当然インターネットには繋がらない。DHCPではなく固定のIPアドレスにしてみたが、やはり外へは繋がらなかった。

何度もネットワーク設定を変えたり、電源をオン・オフしたりと、いろいろやってみると、突然両方のネットワークが表示された。説明書に従って登録作業をすると、ステータスがルーター登録済み(AlienからLinus)になった。これで世界中のFONネットワークが使えるようになる(はずだ)。

でもここまで来るのにかなり苦労した。環境によってはかなり不安定になるようだ。ほとんどの場合は問題なく接続できるのだろうが、そうでなければ基本的なネットワークの知識がないと難しいだろう。ギブアップした人も多いかも知れない。

Fon

2008年2月7日木曜日

なぜVistaは嫌われる?

Windows Vistaが発売されてもう1年になる。しかしXPからのアップグレードはあまり進んでいないようだ。僕もちょうどVistaが発売された直後に子供にパソコンを買い与えたのだが、少し迷って結局はXPにした。XPで特に不満はないし、仕事も忙しいし、子供のためにVistaを覚えるのも面倒だしという理由だ。勤務先のシステム部門もVistaへのアップグレード計画はまったくない。このままXPを使い続けて、Vistaの次のOSであるWindows 7 で乗り換えればいいと考えている会社も多いそうだ。

ただし、実際にXPから移行した会社の担当者の話では「最初はVistaなんかダメだよ」と言っていたユーザーも、一ヶ月もするとたいていは「Vistaもなかなかいいね」と言いだすとか。でも好きか嫌いかと問われれば少なくとも好きではない。人は、特にエンジニアという人種は保守的で変化を嫌うものだ。

面白い例がある。ある大規模な病院で、昨年XPを全面的にVistaに変更したのだが、ほとんどまったく苦情がなかったとか。なぜなら利用者の大半が看護士や医療技術者で、彼らは医療情報DBへの接続用のクライアントにログオンできればOSがXPでもVistaでもMACでもLinuxでも気にしないのだ。唯一苦情が多かったのは管理部門で、病院でファイルマネージャー(ウインドウズ・エクスプローラ)を使うのは彼等くらいだったからだとか。


客「Vistaが欲しいんだけど」
店員「わかりました。どのVistaをお求めですか?ホームベーシック、ホームベーシック・アップグレード、ホームプレミアム、ホームプレミアム・アップグレード、ビジネスフルバージョン、ビジネスフルバージョン・アップグレード、エンタープライズ、エンタープライズ・アップグレード、アルティメイト32ビット、64ビット、アルティメイトリミテッド・・・・」
客「いったいどれがお薦めなんだい?」
店員「Mac OS X です」

915

http://www.joyoftech.com/joyoftech/joyimages/915.gif
この joyoftech.com というサイトは結構笑えるのでお薦めだ。

2008年2月3日日曜日

Bluetoothと携帯電話

カメラのついていない携帯電話はないが、ほとんど使っていなかった。写真を撮ってもメールで送るのはパケット代がもったいないし、かといってUSBでパソコンとつなぐのは面倒くさい。

でもパソコンにBluetoothアダプタを付けてからわりと使うようになった。僕の携帯電話はBlutooth対応なので、自宅のリビングでくつろぎながら、コマーシャルの合間に撮った写真をワイヤレスで自分の書斎にあるパソコンに簡単に転送できるのだ。日本製の携帯電話は一部の高級機しかBluetoothに対応していない。僕の携帯電話は安物だが海外メーカー(Samsung)なので対応している。やはりワイヤレスはすばらしいと思う。無線LANと同じで一度味をしめると後戻りできない。最近はSkypeもBlutetooth対応のヘッドセットを使うようになった。他によくUSBを使っているのはiPodとデジカメくらいだろうか。

デジカメはそろそろ新しいのが欲しいと思っているので調べてみると、国産のカメラでBlutetooth対応のものはないようだ。コダックで1台あったが、かなりりっぱな値段でちょっと手が出そうにない。

考えてみるとパソコン自体、Bluetooth機能がないものが多い。見栄えだけでほとんど使わない機能でゴテゴテと飾るよりずっと必要な機能なのにと思う。国産メーカーは反省して欲しいものだ。

今日は朝から雪だ。東京でこんなに降るのは3年ぶりくらいだろうか。思わず携帯電話のカメラで写真を撮った。もちろんBluetoothでパソコンに転送したものを貼り付けている。

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2008年2月2日土曜日

通勤電車でウェブを見る

通勤電車でウェブを見るなどと言えば、スマートフォンやPDAを想像するかもしれない。でも僕の場合は原始的というか、アナログというか、アメリカのIT関係のニュースサイトの記事を毎朝プリントアウトしているだけだ。

朝はじっくりと記事を選ぶ時間はないので、いくつかピックアップしてあるサイトのヘッドラインのうち、面白そうなものを直感的に選んでプリントアウトする。これを四つ折にして以前使っていた「超」整理手帳のフォルダー(写真)にはさんでおいて通勤電車の中で読む。つり革片手に立って読むのは少しコツがいる。家に帰ればA4サイズの菓子折りの箱に放り込んでおく。できれば週末に再度ざっと目を通したいのだが、たいていはそのままだ。箱が一杯になれば捨てる。

それでも日本のものとは違う視点で書かれた記事が多いので興味深い。気になる箇所には赤のボールペンでアンダーラインを入れる。何か思いつけばメモをちょこっと書き込んだりすることもある。このあたりは紙の最大の利点だろう。スマートフォンならこうはいかない。

と言いながら、途中の駅で乗ってくるおばさんがウィルコムのスマートフォンを持っていて、スタイラスペンを片手にいつもすらすらとウェブを見ている。正直ちょっとうらやましい。欲しいことは欲しいのだが、今のところ毎月5,000円も払ってまでも買う気にはなれない。必要もない。当面はアナログな方法で、ゆれる電車で足を踏ん張りながらウェブを見るに違いない。これもまた良し。

Printednews

アマゾンがオーディブルを3億ドルで買収

アマゾンがオーディブル を3億ドルで買収することになったそうだ。オーディブルといっても馴染みがないかもしれないが、世界最大のオーディオブックのダウンロード販売専門のオンラインショップだ。日本の書店にも本を朗読したCDのコーナーがあるが、あまり普及しているとは言えない。このオーディオブックがアメリカでは非常に人気があるのだ。

理由は一つには通勤方法の違いだろう。アメリカでは一部の大都市を除いて通勤はほぼ100%自動車だ。当然本も新聞も雑誌も読めない。だから、オーディオブックで読む(聴く)。オーディブルでは本だけだなく、一部の雑誌や新聞も販売していて、そのタイトルは 8万種類以上ある。iPodとの親和性もよく、事前にiPodをオーディオデバイスとして登録しておけば、ワンクリックでダウンロード、iPodへのインポートを自動実行してくれる。

値段はピンキリだが、例えば少し前にベストセラーだった「The Appeal」という小説は定価が27.95ドルでオーディオブックなら31.47ドルだ。新聞ならニューヨークタイムズの45分のサマリー版が毎日配信で年間69.95ドル。格安で買える会員制度もあり、僕もだいぶ前から会員になっている。

通勤電車はもっぱらペーパーバックで小説を読んでいるが、オーディオブックの時間が徐々に増えてきた。ちなみにペーパーバックを読むのに普通は3週間かかるが、オーディブルなら同じ程度のもので2週間くらいで聴ける。

いずれにしても車だけでなく、満員電車+オーディオブック+iPodの組み合わせは強力なので、日本語のオーディオブックももっと発売されて、ダウンロードで買えるようになればいいのにと思う。きっとキンドールでもオーディオブックが聴けるようになるのだろうか。

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2008年1月27日日曜日

グリーンテクノロジー:省エネグッズ編

地球温暖化には無関心な人でも昨今のエネルギーコストの増大で、もはや省エネは避けて通れない。でもどうやって?ちょっとしたグッズを使えばトヨタのプリウスを買わなくても省エネはできる。キーワードは「グリーンテクノロジー」。

「Kill A Watt」を家庭のコンセントに差し込めば電気の使用量を液晶パネルにリアルタイムに表示してくれるので毎時間、毎日、毎月、一年間の電気代を簡単に計算することができる。古い冷蔵庫やエアコンにつなげば、新しく買い換えるべきかを知る重要な目安になるだろう。アマゾンで22.98ドル。

KillAWatt

どうしても電気ストーブやパソコンの電源を切り忘れる人にはWatt Stopper社の「IDP-3050」がお薦めだ。部屋に人がいるかどうかをセンサーが感知して、いれば電源をオン、いなければオフにしてくれる。これで40ドルは安い?

IDP 3050
パソコン本体の電源は切っても、プリンタなどの周辺機器の電源は忘れがちなもの。「Smart Strip」はパソコン本体の電源のオン・オフを検知して周辺装置の電源も自動的にオン・オフしてくれる優れものだ。これもアマゾンで41.6ドル。
SmartStrip



アメリカ合衆国エネルギー省によればカラー表示のモニターは74ワットの電力を消費するが、モノクロ表示にすれば59ワットしか消費しない。そこでウェブをできるだけモノクロ表示にすれば省エネになる。Googleの愛用者ならできるだけGoogle-Black を利用しよう。全世界で見れば相当なエネルギーの節約になるはずだ(とか)。

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2008年1月19日土曜日

アメリカ人は本を読まない?

先日のMacWorld Expo でアップルCEOのスティーブ・ジョブスがアマゾンの電子書籍専用端末のキンドールに言及して、「キンドールは成功しない。なぜならアメリカ人は本を読まないから」と言ったとか。彼が言うには、統計上はアメリカ人の40%は1年に1冊以下しか本を読まないそうだ。ジョブスが言うのだからこのデータは正しいのだろう。ただ、反論すれば、平均的なアメリカ人は1年で約50冊の本を読むという統計もある。1年は約52週だから、ほとんど毎週1冊読んでいることになる。しかもアメリカの本は恐ろしく分厚くて、たいていは400ページ以上ある。これを1週間で読むのだから1日の読書時間はかなりのものだろう。つまり本を読む人間と読まない人間が極めてシャープに別れているということだろう。

僕はアメリカへ行くと必ず書店へ行く。アメリカ最大の書店チェーンの「バーンズ・アンド・ノーブル」が多い。広々とした店内の各所にすわり心地のよいソファーを配置してあり、たいていはカフェを併設している。もちろん持ち込んでコーヒーを飲みながら読んでよい。あまり居心地がいいので何時間も居座ってしまうこともある。店内はそんな人であふれている。

本が好きなアメリカ人はたくさんいて、しかも相当な読書家がけっして少なくないと思う。そしてアメリカの人口は先進国では圧倒的な3億人。しかも英語人口は世界で10億人以上もいる。これが巨大なマーケットでないはずがない。僕ごときが天下のジョブスに反論するのもおこがましいが、キンドールはきっと成功すると思う。でもジョブスも言うようにデザインはイマイチかなぁ。とにかくがんばれアマゾン!

客であふれるバーンズ・アンド・ノーブルの店内。ジョブスはクパチーノ(アップル本社のある町)のバーンズ・アンド・ノーブルに行ったことがないの?

BandN
 



2008年1月12日土曜日

新聞を止めて半年経って思うこと

実は昨年の8月で新聞を取るのを止めた。もともとこの何年かはニュースはほとんど新聞ではなくウェブで見ていた。特にIT関係の情報などは一般紙ではまともな情報は得られないのでウェブに頼っている人が多いだろう。唯一新聞を取っていた理由は家内が折込の広告を欲しがるためだ。しかしスーパーの特売情報のために安からぬ料金を払って新聞を取るのもおかしい話だ。そして、約半年たってみて予想通りまったく困らないというのが実感だ。

考えてみると、新聞や雑誌、本などの著作物は中身の情報が大切なのであって、媒体そのものには何の価値もない。オンラインで事足りるものをわざわざ化石燃料を使って運送するのは無駄と言うものだ。新聞の宅配などその最たるものだろう。生協の宅配で牛乳を配達してもらうのとは違う。地球温暖化防止の意味からも無用の二酸化炭素の排出は止めるべきだ。

その観点からだけではないが、今年注目しているのが電子出版だ。今まで電子出版はほとんど普及していなかったが、昨年はアメリカでアマゾンが電子出版専用端末の「キンドール」を発売して大きく様変わりした。最大の特徴は携帯電話のワイヤレスネットワークを使ったダウンロード販売だ。キンドールを買うだけで使えて、契約も不要、料金も無料、もちろん時間も無制限。いつでもどこでも本だけでなく、雑誌や新聞も紙媒体よりずっと安く購読できる。また、辞書も内臓され、ウィキペディアにも無料でアクセス可能だ。アメリカでは発売以来爆発的に売れて品薄状態が続いているとか。今年は本格的にブレイクするのではないか。

もっとも日本では悪名高い出版物の再販制度がある。とっとと廃止するか、それができないなら電子出版に関しては地球温暖化防止、森林資源保護の面からも値引き販売を認めるとかして促進すればよいのにと思う。

キンドールは僕のように通勤時間=読書時間な人間にはかなり魅力的だ。値段は399ドルだがワイヤレスアクセスが無料なことを考えればかなり安い。

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2008年1月10日木曜日

今年の注目は低価格ウルトラポータブル

今年注目しているのがウルトラポータブル・ラップトップ(Ultraprotable Laptop:超軽量ノートパソコン)だ。厳密な定義はないが、重量が概ね2ポンド(0.9Kg)以下のノートパソコンを言う。

昨年12月に欧米で発売された台湾のAsusTech製のEeeがその代表格だ。B5より一回り小さいサイズで、重量はちょうど2ポンド、CPUはCeleron M 900Mz、メモリーは512MBと一見非力だが、OSはLinux、ハードディスクの代わりに4GBのフラッシュメモリーを搭載している。何より345ドルという価格が衝撃的だ。ほとんどがウェブサービスでできるようになった今、快適にネットワークにつながりさえすれば余計な機能は不要だ。ネットワークにつながっていないときでもOpenOfficeがあればほとんどの作業で不自由はないだろう。

AsusTechだけではない。1月3日のPCWorld誌のウェブ版によるとLenovoもIdeaPadというウルトラポータブルを発売するそうだ。重量はEeeより少し重い2.3ポンド(1.04Kg)、価格はスペックにより800ドルから1200ドルになるそうだ。Eeeより高いにしても同社のThinkPadに比べると相当安い。

こういった超軽量で安価なノートパソコンの需要は今後大いに増えるだろうし、今年のトレンドの一つになるに違いない。もちろん他社も順次同様の製品を発売するだろう。

Eeeについては日本でも3月から発売される予定だが、LinuxではなくWindowsになる可能性が高いそうで、ちょっと残念だ。そのせいか価格もかなり高くなって5万円以上になるとか。アメリカのアマゾン(Amazon.com)でも売っているが、なぜか国外配送はできないそうなので、今度アメリカへ行ったときにでも買って帰るかもしれない。

Eeeへの唯一の不満はご覧の通りボディサイズに比べてモニターがやや小さいことだ。これは完全に値段と兼ね合いで仕方ないことだろうが。

AsusEeePC