2008年5月10日土曜日

シリコンバレーの技術者はマイクロソフトが嫌い

マイクロソフトによるYahoo買収劇はやっぱりというか予想通り失敗に終わった。印象的だったのはYahooの創業者でCEOのジェリー・ヤンの感情的とも取れるマイクロソフト嫌いの姿勢だった。彼以外にも、オラクルCEOのラリー・エリソン、アップルCEOのスティーブ・ジョブスなど、シリコンバレーにはマイクロソフト嫌いに事欠かない。それについては思い出すことがある。

アメリカ人は仕事の帰りに飲みに行くという習慣があまりない。全然行かないという訳ではなく、僕もたまには同僚とダウンタウンにあるバーに飲みに行くことはあった。話題は日本と同じで、仕事の話、ボスの話、女の子の話と他愛無い。話題がつきかけるとたいていマイクロソフトの話になる。「あんな会社はShit(くそ)だ」ということで話が再度盛り上がる。彼らは自立・独立精神に溢れ、自由を愛し、反権力の芸術家肌が理想の技術者だと思っている。自分達の価値観と正反対にしか見えないマイクロソフトが嫌いでたまらないのだ。

クパチーノ(アップル本社のある市)にあるハイテク企業に行ったことがあるが、オフィスに入った途端絶句した。受付には血だらけの白衣を着た看護婦が座っていて、カウンターにはやはり血だらけの切り取られた前腕がピクピクと動いているではないか。

その日はハロウィンだったのだ。オフィスの中を案内されたが、カボチャや蜘蛛の巣などハロウィンの色々な飾りつけがしてあり、廊下にはフランケンシュタインやドラキュラ、はてはライオンの扮装をした人が歩いている。その会社ではハロウィンでは毎年自由に飾りつけをしていいし、費用は会社が負担するそうだ。

「マイクロソフトじゃこんなことはしなだろうな」とボソッと言ったのが聞こえたらしく、彼はうなずきながら答えた。「わが社は技術者にネクタイをさせるような会社ではない」

もちろんマイクロソフトの技術者が実際にネクタイをしているという意味ではなく、権威主義や覇権主義、自由でないものの象徴として言っている。これはもはや理屈ではなく文化の違いだろう。

ハロウィンは子供だけでなく大人のお祭りだ。シリコンバレーではこんなオフィスも珍しくない。

Halloween

0 件のコメント: