2008年5月31日土曜日

アメリカの履歴書の書き方

日本の履歴書は面白みがない。市販の用紙を使うことが義務付けられているため個性が出せないのだ。アメリカの履歴書は自分で自由に書式や構成を選んで作成する。字体も自分でアレンジして、少しでも見やすく分かりやすいように工夫する。職務経歴も兼ねているので、大いに参考になる。

まずはカバーレターから
自分が応募するにいたった理由や熱意など、履歴書には書けないことを簡潔に書く。採用担当者が最初に見る文章なので、非常に大切だ。レターヘッド付きの便箋を使う人も多い。

 
写真は貼らない
履歴書に書く個人情報は、名前と住所、電話番号、電子メールアドレスくらいだ。写真の添付もしない。書類選考の段階で年齢や性、人種あるいは美醜などで差別されるのを防ぐためだ。雇用者側も要求することはない。不採用になった場合に、雇用差別で訴えられたら絶対に勝てないからだ。


職歴、学歴の順番も逆
大切なこと、つまり新しいことから書くのが原則だ。まず現在の業務上の能力をアピールする。そして現在または直近の職業を書く。会社名や所属部課だけでなく、具体的にどのような仕事をして、どのような成果を上げたかを簡潔に分かりやすく書く。そして過去にさかのぼって職歴を書いて、最後に学歴となる。

アメリカの企業は即戦力の人材を求める
アメリカ人は専門職志向が強く、会社側も雇った人間を長い目で見たり、金をかけて教育するという意識が希薄だ。応募にあたっても職務内容を細かく分けて、その分野に精通した、即戦力の人材を求める傾向が強い。

履歴書は重要なツールだ
採用されるためには、自分がいかに会社が必要とする職務に適しているか、説得する必要がある。履歴書はそのためのマーケティングツールなのだ。そのために少しでも良い印象を与えようとフォーマットや字体に凝るわけだ。大きな書店には履歴書のハウツウ本専門コーナーがあって人気コーナーのひとつだ。また履歴書作成専用のソフトなどもあり、ウィザード形式で質問に答えれば、体裁の良い履歴書を自動的に作ってくれたりする。日本でもアメリカでも就職・転職は人生の一大行事である事に変わりない。

2008年5月23日金曜日

ムーンライト・ジョブの勧め

僕の周りにも副業を持っている人が意外といるようだ。日本では就業規則で禁止している会社も多いのであまり大っぴらにできない。よほど親しい人でないと言わないが、なんとなく様子で分かることがある。

英語にはムーンライト・ジョブ(moonlight jpb)という言葉があって、セカンドジョブ(second job)、つまり副業のことだ。フルタイムの仕事が終わった後で、月明かりの下でする仕事という意味で面白い言葉だ。

これに対してアンダー・ザ・テーブル・ジョブ(under the table job)という言葉もある。これは人に見られないように、お金をテーブルの下で受け渡しするという意味で、税務署などに収入を申告しない仕事のことを言う。仕事そのものは合法でも、申告しなければもちろん違法だ。

アメリカではサマータイムが3月から11月までと長いので、仕事を終わってもかなり遅い時間まで明るく、ムーンライト・ジョブがやり易い。フルタイムの仕事の後や週末に他の仕事をすることは決して珍しいことではない。

僕の副業歴も結構長い。ここしばらくはライターをしている。たまたまある出版社の人と知り合い、インターネット関係の雑誌に短い記事を書く機会があったのが最初だった。以降、雑誌を中心にコンピュータ関係の記事やコラムを書いてきた。ウェブマガジンやメールマガジンの仕事もわりとある。ライターはどこかに出勤する必要がないので、副業としてはやり易い。ただ、締切がタイトな場合が多いので結構大変だ。

副業をするのは必ずしも金のためだけではない。同じ会社で同じような仕事ばかりやっているとマンネリになりやすい。ちょっと違う仕事をしたり、同じような仕事でも違った環境ですると良い刺激を受けたり、気分転換になるからだ。週に数回、数時間程度なら本業にも良い影響を与えるだろう。異業種交流会や各種のカンファレンスに出席するのとやや似ているかもしれない。

確定申告は面倒なようだが、すぐに慣れる。副業をすると収入は増えるが、仕事によっては経費として認められるものも多くなるので、税金が増えるとは限らない。アンダー・ザ・テーブルではなくてムーンライトで行こう!
写真はアメリカの確定申告書(Tax Return)。

Taxreturn



2008年5月10日土曜日

シリコンバレーの技術者はマイクロソフトが嫌い

マイクロソフトによるYahoo買収劇はやっぱりというか予想通り失敗に終わった。印象的だったのはYahooの創業者でCEOのジェリー・ヤンの感情的とも取れるマイクロソフト嫌いの姿勢だった。彼以外にも、オラクルCEOのラリー・エリソン、アップルCEOのスティーブ・ジョブスなど、シリコンバレーにはマイクロソフト嫌いに事欠かない。それについては思い出すことがある。

アメリカ人は仕事の帰りに飲みに行くという習慣があまりない。全然行かないという訳ではなく、僕もたまには同僚とダウンタウンにあるバーに飲みに行くことはあった。話題は日本と同じで、仕事の話、ボスの話、女の子の話と他愛無い。話題がつきかけるとたいていマイクロソフトの話になる。「あんな会社はShit(くそ)だ」ということで話が再度盛り上がる。彼らは自立・独立精神に溢れ、自由を愛し、反権力の芸術家肌が理想の技術者だと思っている。自分達の価値観と正反対にしか見えないマイクロソフトが嫌いでたまらないのだ。

クパチーノ(アップル本社のある市)にあるハイテク企業に行ったことがあるが、オフィスに入った途端絶句した。受付には血だらけの白衣を着た看護婦が座っていて、カウンターにはやはり血だらけの切り取られた前腕がピクピクと動いているではないか。

その日はハロウィンだったのだ。オフィスの中を案内されたが、カボチャや蜘蛛の巣などハロウィンの色々な飾りつけがしてあり、廊下にはフランケンシュタインやドラキュラ、はてはライオンの扮装をした人が歩いている。その会社ではハロウィンでは毎年自由に飾りつけをしていいし、費用は会社が負担するそうだ。

「マイクロソフトじゃこんなことはしなだろうな」とボソッと言ったのが聞こえたらしく、彼はうなずきながら答えた。「わが社は技術者にネクタイをさせるような会社ではない」

もちろんマイクロソフトの技術者が実際にネクタイをしているという意味ではなく、権威主義や覇権主義、自由でないものの象徴として言っている。これはもはや理屈ではなく文化の違いだろう。

ハロウィンは子供だけでなく大人のお祭りだ。シリコンバレーではこんなオフィスも珍しくない。

Halloween