2008年12月13日土曜日

アメリカの司法制度について-陪審員と弁護士-

日本でも裁判員制度が始まることになった。僕は非常に良いことだと思う。候補者の通知は来なかったが、選ばれたら喜んで参加するだろう。

ご存知のようにアメリカには陪審員制度がある。陪審員による裁判を受けるのは憲法で保障された権利だとされている。つまり法律のプロである裁判官より素人である市民の評決の方が被告人にとってより正しいはずだと考えれられているのだ。いかにもアメリカらしい考え方だ。

陪審員に召喚された場合は原則として拒否できないことになっている。もっとも仕事の事情とかいろいろ理由を付けてで辞退することはできる。これも2回までで、3回目は辞退できない。殺人罪などに当たると責任も重大だし、日数もかかる。だから1,2回目が窃盗などの軽い罪の場合は無理してでも応じる人が多いそうだ。

僕の知人も二人召喚されたことがある。受付の女の子の方は初めてだったそうで、興味津々喜んで休みを取って出かけていった。僕をよく射撃に誘ってくれた50年配の男性はこれが3回目だと言っていた。召喚されると言ってもその程度の確率なのだ。

弁護士もアメリカでは身近な存在だ。知人の女性が大きな交通事故に巻き込まれたことがあった。本人には怪我はなかったが、同乗していたご主人が短期間だが入院し、車がお釈迦になった。それで相手側に損害賠償を求めて民事裁判になった。結局勝訴して4万ドル手に入れたが、弁護士費用が賠償額の50%の契約で2万ドルしか入らなかったとぼやいていた。

アメリカでは弁護士の成功報酬制度が一般的だ。普通の市民は高額の弁護士料など払えないので便利な制度だ。しかし弁護士にとっては最悪タダ働きの可能性もあるわけでリスクをとる分報酬も高額になる。

日本では最近内定取り消しや契約途中での派遣切りが話題になっているが、アメリカなら弁護士の方から訴訟を勧める電話がかかってくるかもしれない。ほぼ間違いなく勝訴できるからだ。そして慰謝料は折半だ。でも金のない庶民が大企業を相手に訴訟を起こせるのは成功報酬制度のおかげだ。それが企業側が法令を遵守する強烈な圧力にもなっているのだ。日本にもあればいいのにと思う。
アメリカでは交通事故訴訟専門の弁護士はAmbulance Chaser(救急車追っかけ人)と揶揄される。町で救急車を見かけると追いかけていき、被害者に訴訟を勧めるからだ。一方「彼はAmbulance Chaserだ」と言うのはヘボ弁護士への悪口でもある。女性弁護士が「私の夫はこの事務所の最高のパートナーなの。彼は救急車の運転手なのよ」というジョーク。

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