2008年8月2日土曜日

シンクライアントの最終型

数年前からセキュリティ・情報漏えい対策の決め手として注目されているシンクライアントだが、ここへ来て普及が足踏みしているらしい。原因は導入・運用に莫大なコストがかかることと、利用上の制限がかなり大きいことだ。

いくつかある方式のうち、現在実用的とされているのは仮想PC方式とサーバーベース方式だ。

仮想PC方式はVMwareやXen Desktopなどの仮想化技術を使って全ユーザーに専用の仮想PC環境をサーバー上に構築する方式だ。セキュリティの確保と利用者の操作性を両立し得る優れた方式だが、超高性能のサーバーが大量に必要で、全社に展開するのは莫大なコストがかかる。

サーバーベース方式はサーバー上で稼動する一つのアプリケーションを多数のユーザーが利用する方式だ。仮想PC方式に比べてコスト的にはずっと優れている。しかし、アプリケーション毎にサーバー上での細かい設定やチューニングが必要なことが多く、利用上の制限も大きいのが欠点だ。現在のファットクライアント(=普通のPC)に慣れ親しんだユーザーにはかなりの抵抗があるだろう。

サーバーベース方式のコストが安いと言っても比較の問題で、莫大なコストがかかることには変わりはない。導入例も限定的(社員の一部だけ)という場合がほとんどだ。トヨタ自動車は全社員7万人を対象にサーバーベース方式によるプロジェクトを進めているというが、あくまで例外中の例外だろう。検討の結果、結局導入を断念した会社がほとんどではないだろうか。

オフィススイートやグループウェアなどの主要なアプリケーションをウェブ化できればかなり有力な方式になるかもしれない。もしGoogleが Google Docなどをサーバーアプリケーションとしてパッケージ化して外販すれば業務のかなりの部分は移行可能だと思う。最終的にはそういう方向へ進むと個人的には考えている。

シンクライアント端末大手のワイズ社のラップトップ型端末。あまりスマートとは言えない。これも問題と言えば問題か。





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