2008年4月27日日曜日

祖国、そして故郷を思うそれぞれの心

知人の中国人が帰国することになった。彼は高校生のときに姉を頼って来日し、以来16年間も日本で住んでいる。もちろん大学も日本だし、就職も最初から日本の会社だ。一貫してITエンジニアとして勤め上げ、上司や同僚の信頼も厚い。しかも中国語以外にも日本語も英語もできるトライリンガルだ。帰国しても経済的にはかなり恵まれた生活が送れるだろう。

しかし、一方中国には自由がないことも確かだ。参政権もないし、報道の自由もない。基本的人権も保証されていない。彼にとってこのまま日本ですみ続けることも選択肢だったに違いない。帰国する理由は家族のためと言っていたが、僕も詳しくは聞かなかった。海外在住者にとって祖国への思いは特別で複雑なものだ。簡単には聞けないし、聞かれても答えられるものでもない。

僕もアメリカで住んでいたのでよく分かる。アメリカは色々な問題があることは確かだが、基本的には住みやすい国だ。特にカリフォルニアは気候も温暖で食事も美味しい。留学やビジネスで訪れてそのまま住み続けてしまう人も少なくない。にも係わらず20年も住んだアメリカを捨てて日本に帰国した知人が何人かいる。外国に住んだことがなければ故郷に置き換えればやや近いだろう。

えっ、僕はどうだったのかって?イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」の最後の一節で察して欲しい。

Last thing I remember, I was running for the door. I had to find the passage back to the place I was before. 'Relax,' said the night man, 'We are programmed to receive. You can check-out any time you like, But you can never leave!'

原野を果てしなく貫くフリーウェイ。僕にとってのカリフォルニアの原風景だ。

IMG 1399

0 件のコメント: