2010年1月2日土曜日

年末ジャンボと「シュレディンガーの猫」

家内が宝くじが好きで、ジャンボはたいてい買っている。家内がウェブサイトで当たりくじをチェックしているのを見て「シュレディンガーの猫」を思い出した。

シュレディンガーはオーストリア生まれの物理学者で、量子力学の基本方程式である「シュレディンガー方程式」を発見したことで知られている。そのシュレディンガーが当時主流になりつつあった量子力学の確率論的解釈に反対するために考え出したのが「シュレディンガーの猫」という思考実験だ。

「蓋のある箱を用意して、この中に猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、放射性物質のラジウムを一定量と、ガイガーカウンターを1台、青酸ガスの発生装置を1台入れておく。もし、箱の中にあるラジウムがアルファ粒子を出すと、これをガイガーカウンターが感知して、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、青酸ガスを吸った猫は死ぬ。しかし、ラジウムからアルファ粒子が出なければ、青酸ガスの発生装置は作動せず、猫は生き残る。さて、ラジウムがアルファ崩壊する確率が50%とすると、一定時間経過後、果たして猫は生きているか死んでいるか。
現実社会では猫はあくまで生きているか死んでいるかどちらかでしかない。猫の生死は蓋を開けないとわからない。しかし量子力学では猫は50%生きていて、かつ50%死んでいるという状態であり、「生きている状態と死んでいる状態が1:1で重なり合っている」という解釈をする。さらには人間が蓋を開けることによって生きているか死んでいるか「どちらかの状態に収束する」と説明する。

量子力学ではこのような一見非現実的な解釈であらゆる現象をまったく矛盾なく説明できる。つまり正しいのだ。しかし、これを拡張して現実社会に当てはめようとすると、このようなありえない矛盾を生んでしまう。これを皮肉ったのが「シュレディンガーの猫」というパラドックスなのだ。

家内が宝くじの当選番号をチェックしている間、彼女の心理では当選した状態と当選しなかった状態が重なり合っている。そしてチェックした後で当選しなかったという状態に収束したわけだ。実際に当選する確率は数億分の1だが、彼女の中では当選するのとしないのはあくまで50%ずつというのが面白い。


0 件のコメント: