2007年9月17日月曜日

IMでの決まり文句とアメリカでの思い出

IMでメッセージを送る時、決まり文句というものがある。よくコンタクトを取る人なら「お疲れ様です」、そうでもない人なら「お世話になります」といった言葉から始まる。これは会社にもよるだろうし、もちろん人にもよる。僕の場合、ある程度意識してカジュアルになるようにしている。例えば相手が若い人で金曜日なら「T.G.I.F.」だ。これは「Thank God It's Friday」の略で「神様、金曜日をありがとう」つまり「明日は休みだ、うれしいな」といった意味になる。アメリカでは結構ポピュラーな挨拶だ。これに対し「Oh, Yah」などと返してくれば「おっ、わかってるじゃん」という事になるが、たいていは「なんですかそれ?」と質問される。外資系なのでいいが、普通の会社ならキザと思われるかもしれない。

何か依頼されたり質問されて、相手に「ありがとうございました」と感謝されたときは、「anytime!」で締めくくる。この意味がわからない人はいないだろうが、実はこの言葉には思い出がある。

それは在米中、感謝祭(Thanks Giving Day、11月の第4木曜日)の日だった。感謝祭はその年の収穫を神に感謝する日で、アメリカでは非常に重要な祝日だ。この日は近くに住む家族や親戚、親しい友人などが集まって七面鳥やパンプキンパイなど開拓時代からの伝統的なご馳走を食べる。僕の家族も毎年招待されたが、女達は朝早くから料理を作り(七面鳥のローストは5時間くらいかかる)、男どもは朝っぱらからワインやビールを飲んだりする。日本の盆と正月が一緒になったような日だが、日本と違うのは日頃は24時間営業のスーパーやマクドナルドまで休業してしまうことだ。つまりそれくらい大切な日なのだ。

その感謝祭の朝、ポケベルが鳴ったので見るとサーバーの名前とエラーコードが表示されていた。サーバーに異常があると自動的にシステム管理責任者のポケベルに通知してくるのだ。あいにくFreeBSDのサーバーで復旧方法がよくわからない。担当の技術者に連絡しようとしたが、何しろ感謝祭で誰とも連絡が取れない。困り果てていると、近くにある空軍基地のコンピュータ担当の技術兵で、時々手伝ってもらっている友人を思い出した。彼なら詳しいはずだ。電話をすると幸いにも彼が出てすぐ来てくれると言う。無事復旧して「助かったよ、感謝祭なのに来てくれてありがとう。」とお礼を言うと、帰ってきた言葉が「anytime!」だった。

彼とは帰国後連絡を取っていないが、噂ではイラク戦争への派遣命令を拒否したため二階級降格の上、不名誉除隊になったという。不名誉除隊とは懲戒免職のことで、アメリカでは国家に対する裏切り者扱いされ、まさしく一生不名誉を背負うことになる。さらに軍命を拒否したとなれば懲役刑も科されているはずだ。彼なりの考えがあったのだろうが、イラク戦争のニュースを聞くと時々あのときの彼の笑顔が思い出されるのだ。

0 件のコメント: