2016年1月9日土曜日

南アフリカの地方自治制度(その1)

南アフリカの地方自治制度は日本とは随分と違うようだ。ちょっと興味があって、時間のある時にちょこちょこと調べているが、当然英語の情報ばかり。ほとんどが断片的な情報で体系的なものは非常に少ない。

南アフリカのち地方自治体は三種類ある、と言うか三種類しかない。

一つ目は Metropolitan Municipality と言う。直訳すれば大都市自治体とでもなるだろうか。名前の通りケープタウン、プレトリア、ヨハネスブルクなどの大都市を構成する自治体で、全国に8つある。二つ目は Local Municipality と言う。直訳すれば地方自治体?そのままだ。ほとんどの自治体がこれで、全国に236ある。この二つが基礎的自治体となる。三つ目が District Municipality で区分自治体とでも訳するべきか。郡と言ったほうが分かりやすいかもしれない。いくつかの地方自治体 (Local Municipality) が集まった自治体だ。これは全国で52ある。地方自治体(Local Municipality)を補完する自治体で、あまり大きな権限はないようだ。ちなみに、大都市自治体(Metoropolitan Municipality)は区分自治体(District Municipality)には含まれず、単独で区分自治体(District Municipality)の機能を兼ねている。それ以外に州(Province)が全国で9つある。つまり、地方自治体については全てMunicipalityで、市町村の区別はない。本来英語の Municipality は市町村の総称のような意味だが、強いて訳せば「市」で良いと思う。

当然 政府(Government)→州(Province)→区分自治体(District Municipality)→地方自治体(Local Municipality)で、僕の任地は Limpopo Province → Mopani Municipality → Ba-Phalaborwa Municipality となる。Municipality の名前からは District やLocal は省かれるようだ。周辺には西にグレーターザニーン市(Greater Tzaneen Municipality)、南にはマルレング市 (Maruleng Municipality)がある。

それぞれの Municipality にはmayorがいる。英語のmayorは市長、町長、村長など、基礎的自治体の長の事なので Local Municipality  のmayorは市長、District Municipalityの mayor は郡長とでも訳して良いだろう。州(Province)の行政府の責任者はPremierと言う。本来は首相の事なので、州首相とでも訳すべきだろう。

これは南アメリカの政治制度の特徴なのだが、行政府の長は直接選挙ではなく、議会議員の間接選挙で選ばれる。大統領は下院議員の中から、州首相は州議会議員の中から、郡や市の市長もそれぞれの議会議員の互選で選ばれ、議会の議長職を兼ねる。直接選挙で選ばれるのは議会議員だけだ。どの議会議員も任期は5年だ。

それぞれの地方自治体(Local Municipality)にはコアとなる集落がある。それらはTownと呼ばれる。その周辺に衛星都市のように集落が点在している。例えば任地のBa-PhalaborwaのTownはPhalaborwaで、Greater Tzaneen のTownはTzaneen、MarulengのTownはHoedspruitだ。Townの多くは白人が入植して発展した集落で、Tzaneen、Hoedspruit、Phalaborwaはいずれも半数前後が白人、特にオランダ系移民の子孫である Afrikaner(アフリカ人の意味)が大半だ。

Townの周辺に点在する集落に住んでいるのはほとんど黒人だ。Phalaborwaの周辺で最大の集落であるNamakgleは人口36,000人のうち、黒人が99.6%を占める。白人の割合は0.1%だ。これらの集落はcommunityと呼ばれている。多くは白人の入植前に成立した同じ部族や、複数の部族からなる伝統的な集落だ。彼らはCommunity Leaderを選出して地方自治制度とは別の、ある種の自治的な権限を持っているようだ。Community Leaderの選出方法はそのCommunityに任されている。

 

SAProvince

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